■当カテゴリの記事について

 このカテゴリでは、韓国語版『原理講論』の直訳文を掲載していますが、これは『原理講論』で韓国語を学ぶための資料として訳されたものです。(文責は当ブログ管理人)

 現行の日本語版『原理講論』の訳文を否定するものではなく、その意図もありません。現行の訳文は、当時、翻訳を担当された方々の精誠の賜物であり、神霊によって導かれた最高基準の訳文です。

 ただ、『原理講論』で韓国語学習をする場合、直訳文の方が学習しやすいという側面があことも事実です。そのためこのカテゴリの記事は、『原理講論』で韓国語を学びたい、あるいはすでに学んでいる方の参考資料として活用してもらうことを目的として掲載しています。

 

■記事構成について

 原文を文章ごとに分け、それぞれの文章を【韓国語原文】、【原文の直訳】、【現行の訳文】の3つに分けて記載しています。

 【現行の訳文】が直訳されていて変更箇所がない場合、【原文の直訳】を省略し、【原文の直訳】と【現行の訳文】が統合されて一つの文章になっています。

 

■み言の引用について

 『原理講論』の引用文は、2014年5月30日、光言社発行の第五版第一刷から引用したものです。また、聖句の引用は、日本聖書協会発行の『口語訳聖書』からの引用です。

 『口語訳聖書』は原語(旧約聖書はヘブライ語、新約聖書はギリシャ語)から翻訳し、欧米の各言語(特に英語)を参考として訳されているため、『口語訳聖書』からの引用箇所は、韓国語の聖句の直訳になっていないことに留意してください。

■韓国語辞書について

 翻訳するさいに基準としている韓国語の辞書は、小学館の『韓日辞典』(旧『朝鮮語辞典』)です。『韓日辞典』にない場合は、こちらのNAVER「국어사전(国語辞典)」を使います。

https://ko.dict.naver.com/#/main

 

本文‐総序①

1
【韓国語原文】
총서
【原文の直訳】
総序
【現行の訳文】

2
【韓国語原文】
인간은 누구나 불행을 물리치고 행복을 찾아 이루려고 몸부림치고 있다.
【原文の直訳】
人間は、誰しも、不幸を退けて幸福を求め、成し遂げようと身もだえしている。
【現行の訳文】
人間は、何人といえども、不幸を退けて幸福を追い求め、それを得ようともがいている。

3
【韓国語原文】
개인의 사소한 일로부터 역사를 좌우하는 큰 일에 이르기까지 그것들은 결국 하나같이 보다 행복해지려는 삶의 표현인 것이다.
【原文の直訳】
個人の些少なことから歴史を左右する大きなことに至るまで、それらは結局、同じようにより幸福になろうとする生の表現なのである。
【現行の訳文】
個人のささいな出来事から、歴史を左右する重大な問題に至るまで、すべては結局のところ、等しく、幸福になろうとする生の表現にほかならないのである。

4
【韓国語原文】
그러면 행복은 어떻게 될 때 오게 되는 것인가?
【原文の直訳】
それでは、幸福はどのようになるときやって来るのだろうか。
【現行の訳文】
それでは、幸福はいかにしたら得られるのであろうか。

5
【韓国語原文】
인간은 누구나 자기의 욕망이 이루어질 때 행복을 느끼게 된다.
【原文の直訳】
人間は誰しも、自己の欲望がかなうとき、幸福を感じるようになる。
【現行の訳文】
人間はだれでも、自己の欲望が満たされるとき、幸福を感ずるのである。

6
【韓国語原文】
욕망이라고 하면 우리는 흔히 그 본의(本意)를 흐려서 생각하기 쉽다.
【原文の直訳】
欲望と言えば、我々はよくその本意を取り違えて考えやすい。
【現行の訳文】
しかし欲望などといえば、ややもすると我々はその本意を取り違えがちである。

7
【韓国語原文】
그것은 그 욕망이 선(善)보다도 악(惡)으로 나아가기 쉬운 생활환경 가운데서 우리가 살고 있기 때문이다.
【原文の直訳】
それは、その欲望が善よりも悪に進みやすい生活環境の中で、我々が生きているからである。
【現行の訳文】
というのは、その欲望が概して善よりは悪の方に傾きやすい生活環境の中に、我々は生きているからである。

8
【韓国語原文】
그러나 불의(不義)를 맺는 욕망은 어디까지나 인간의 본심(本心)에서 나오는 것은 아니다.
【原文の直訳】
しかし、不義を生じさせる欲望は、あくまでも人間の本心から出てくるものではない。
【現行の訳文】
しかしながら、我々をして不義を実らせるような欲望は、決して人間の本心からわき出づるものではない。

9
【韓国語原文】
인간의 본심은 이러한 욕망이 자신을 불행으로 이끌어 간다는 것을 잘 알고 있기 때문에, 악을 지향하는 욕망을 물리치고 선을 추구하는 욕망을 따라 본심이 기뻐하는 행복을 찾으려고 필사적인 노력을 하고 있는 것이다.
【原文の直訳】
人間の本心は、このような欲望が自らを不幸に導いていくことをよく知っているので、悪を指向する欲望を退けて、善を追求する欲望に従い、本心が喜ぶ幸福を求めようと必死の努力をしているのである。
【現行の訳文】
人間の本心は、このような欲望が自分自身を不幸に陥れるものであるということをよく知っているので、悪に向かおうとする欲望を退け、善を指向する欲望に従って、本心の喜ぶ幸福を得ようと必死の努力を傾けているのである。

10
【韓国語原文】
이것이 바로 사망의 어두움을 헤치고 생명의 빛을 찾아 고달픈 길을 더듬고 있는 인생이다.
【原文の直訳】
これが正に、死亡の暗闇をかき分け、生命の光を求めてつらい道を彷徨している人生である。
【現行の訳文】
これこそ正に、死の暗闇を押しのけて、命の光を探し求めながら、つらく、険しい人の道を彷徨する偽らざる人生の姿なのである。

11
【韓国語原文】
불의의 욕망을 따라가서 본심이 기뻐하는 행복을 누려 본 사람이 어디에 있었던가?
【原文の直訳】
不義の欲望に従っていき、本心が喜ぶ幸福を享受してみた人がどこにいただろうか。
【現行の訳文】
いったい、不義なる欲望のままに行動して、本心から喜べるような幸福を味わい得る人間がいるであろうか。

12
【韓国語原文】
인간은 누구나 그러한 욕망을 채울 때마다 양심의 가책을 받아 고민하게 된다.
【原文の直訳】
人間は、誰でもそのような欲望を満たすたびに、良心の呵責を受けて悩むようになるのである。
【現行の訳文】
このような欲望を満たすたびごとに、人間はだれしも良心の呵責を受け、苦悶するようになるのである。

13
【韓国語原文】
자식에게 악을 가르치는 부모가 어디 있으며, 제자에게 불의를 넣어 주는 스승이 어디 있을 것인가?
【原文の直訳】
子女に悪を教える父母がどこにおり、教え子に不義を教える師がどこにいるだろうか。
【現行の訳文】
その子供に悪いことを教える父母がいるであろうか。その子弟を不義に導く教師がいるであろうか。

14
【韓国語原文】
악을 미워하고 선을 세우고자 하는 것은 누구나 다 가지고 있는 본심의 발로이다.
【原文の直訳】
悪を憎み、善を立てようと思うことは、誰もがみな持っている本心の発露である。
【現行の訳文】
だれしも悪を憎み、善を立てようとするのは、万人共通の本心の発露なのである。

15
【韓国語原文】
특히 이러한 본심(本心)이 지향하는 욕망을 따라 선을 이루려고 몸부림을 치는 것이 바로 도인(道人)들의 생활이지만, 유사이래 그 본심대로만 살다 간 사람은 하나도 없는 것이다.
【原文の直訳】
特に、このような本心が指向する欲望に従って、善を成し遂げようと身もだえするのが正に道人たちの生活だが、有史以来、その本心どおりにのみ生きていった人は一人もいない。
【現行の訳文】
とりわけ、このような本心の指向する欲望に従って、善を行おうと身もだえする努力の生活こそ、ほかならぬ修道者たちの生活である。しかしながら、有史以来、ひたすらにその本心のみに従って生きることのできた人間は一人もいなかった。

16
【韓国語原文】
그러기에 성서에 의인은 없나니 하나도 없으며 깨닫는 자도 없고 하나님을 찾는 자도 없고(롬 3 : 10∼11)라고 하였으며, 또 인간의 이러한 참경(慘境)에 직면하였던 바울은 내 속 사람으로는 하나님의 법을 즐거워하되 내 지체 속에서 한 다른 법이 내 마음의 법과 싸워 내 지체 속에 있는 죄의 법 아래로 나를 사로잡아 오는 것을 보는도다 오호라 나는 곤고한 사람이로다(롬 7 : 22∼24)라고 개탄하였던 것이다.
【原文の直訳】
それで聖書に、「義人はいない、ひとりもいない。悟りのある人はいない、神を求める人はいない」(ロマ三・10、11)とあり、また人間のこのような悲惨な光景に直面していたパウロは、「わたしは、内なる人としては神の律法を喜んでいるが、わたしの肢体には別の律法があって、わたしの心の法則に対して戦いをいどみ、そして、肢体に存在する罪の法則の中に、わたしをとりこにしているのを見る。わたしは、なんというみじめな人間なのだろう」(ロマ七・22~24)と嘆いたのである。
【現行の訳文】
それゆえ、聖書には「義人はいない、ひとりもいない。悟りのある人はいない、神を求める人はいない」(ロマ三・10、11)と記されているのである。また人間のこのような悲惨な姿に直面したパウロは「わたしは、内なる人としては神の律法を喜んでいるが、わたしの肢体には別の律法があって、わたしの心の法則に対して戦いをいどみ、そして、肢体に存在する罪の法則の中に、わたしをとりこにしているのを見る。わたしは、なんというみじめな人間なのだろう」(ロマ七・22─24)と慨嘆したのであった。

17
【韓国語原文】
이제 우리는 여기에서 선의 욕망을 성취하려는 본심의 지향성과 이에 반하여 악의 욕망을 달성하려는 사심(邪心)의 지향성이 동일한 개체 속에서 각기 상반된 목적을 앞세우고 치열한 싸움을 하고 있는 인간의 모순성(矛盾性)을 발견하게 되었다.
【原文の直訳】
今我々はここで、善の欲望を成就しようとする本心の指向性と、これに反対して悪の欲望を達成しようとする邪心の指向性が、同一の個体の中でそれぞれ相反する目的を前面に立て、熾烈な闘いをしている人間の矛盾性を発見するようになった。
【現行の訳文】
ここにおいて、我々は、善の欲望を成就しようとする本心の指向性と、これに反する悪の欲望を達成させようとする邪心の指向性とが、同一の個体の中でそれぞれ相反する目的を指向して、互いに熾烈な闘争を展開するという、人間の矛盾性を発見するのである。

18
【韓国語原文】
존재하는 것은 무엇이든지 그 자체 내에 모순성을 갖게 될 때에는 파멸된다.
【原文の直訳】
存在するものは何であっても、それ自体内に矛盾性をもつようになる時には破滅する。
【現行の訳文】
存在するものが、いかなるものであっても、それ自体の内部に矛盾性をもつようになれば、破壊されざるを得ない。

19
【韓国語原文】
따라서 이와 같이 모순성을 가지게 된 인간 자체는 바로 파멸상태에 놓여 있는 것이다.
【原文の直訳】
したがって、このように矛盾性をもつようになった人間自体は、正に破滅状態に置かれているのである。
【現行の訳文】
したがって、このような矛盾性をもつようになった人間は、正に破滅状態に陥っているということができる。

20
【韓国語原文】
그런데 이러한 인간의 모순성은 당초 태어날 때부터 가지고 있었을 리는 만무하다.
【原文の直訳】
しかし、このような人間の矛盾性は、当初、生まれるときからもっていたはずは決してない。
【現行の訳文】
ところで、このような人間の矛盾性は、人間が地上に初めて生を享けたときからあったものとは、到底考えられない。

21
【韓国語原文】
왜냐하면 어떠한 존재도 모순성을 내포하고서 생성(生成)할 수는 없기 때문이다.
【原文の直訳】
なぜなら、いかなる存在も、矛盾性を内包して生成することはできないからである。
【現行の訳文】
なぜかといえば、いかなる存在でも、矛盾性を内包したままでは、生成することさえも不可能だからである。

22
【韓国語原文】
그러므로 인간이 생겨나기 전부터 이러한 모순성을 내포한 운명적인 존재였다면 애당초 생겨날 수도 없었을 것이다.
【原文の直訳】
それゆえ、人間が生れる前からこのような矛盾性を内包した運命的な存在だったとすれば、初めから生れることもできなかったであろう。
【現行の訳文】
もし人間が、地上に生を享ける以前から、既にこのような矛盾性を内包せざるを得ないような、運命的な存在であったとすれば、生まれるというそのこと自体不可能であったといえよう。

23
【韓国語原文】
따라서 인간이 가지고 있는 그러한 모순성은 후천적인 것이라고 볼 수밖에 없는 것이다.
【原文の直訳】
したがって、人間がもっているそのような矛盾性は、後天的なものであると見ざるをえないのである。
【現行の訳文】
したがって、人間がもっているこのような矛盾性は、後天的に生じたものだと見なければなるまい。

24
【韓国語原文】
인간의 이러한 파멸상태를 일러 기독교에서는 타락(墮落)이라고 한다.
【原文の直訳】
人間のこのような破滅状態のことを、キリスト教では、堕落というのである。
【現行の訳文】
人間のこのような破滅状態のことを、キリスト教では、堕落と呼ぶのである。

25
【韓国語原文】
이런 관점에서 볼 때 우리는 인간이 타락되었다는 결론에 이르게 되며, 누구도 이것을 반박할 여지가 없을 것이다.
【原文の直訳】
このような観点から見るとき、我々は、人間が堕落したという結論に至るようになり、誰もこれに反駁することはできないであろう。
【現行の訳文】
このような観点から見るとき、我々は、人間は堕落したのだという結論に到達する。と同時に、だれしもこの結論に対しては反駁する余地がないということをもまた知るのである。

26
【韓国語原文】
인간은 이와 같이 타락되어 자기 파멸에 이르고 있는 것을 알고 있기 때문에, 사심으로부터 오는 악의 욕망을 물리치고 본심으로부터 일어나는 선의 욕망을 따라 하나의 목적을 지향하는 것으로써 그 자체의 모순성을 제거하려고 필사적인 노력을 하고 있다.
【原文の直訳】
人間は、このように堕落して自己破滅に至っていることを知っているがゆえに、邪心から来る悪の欲望を退けて、本心から生じる善の欲望に従い、一つの目的を指向することによって、それ自体の矛盾性を除去しようと、必死の努力をしているのである。
【現行の訳文】
人間は、このように堕落して自己破滅に瀕しているということを知っているがゆえに、邪心からくる悪の欲望を取り除き、本心から生じてくる善の欲望に従って、一つの目的を指向することによって、それ自体の矛盾性を除去しようと、必死の努力をしているのである。

27
【韓国語原文】
그러나 애석하게도 우리는 궁극(窮極)에 있어서 선과 악이 무엇인가 하는 문제를 풀지 못하고 있다.
【原文の直訳】
しかし、無念にも、我々は、究極において、善と悪が何かという問題を解くことができずにいる。
【現行の訳文】
しかし、悲しいかな、我々は、その究極において、善と悪とがそもそもいかなるものなのかという問題を解くことができずにいるのである。

28
【韓国語原文】
이를테면 유신론(有神論)과 무신론(無神論)을 두고 볼 때, 그중의 어느 하나가 선이라고 하면 다른 하나는 악이 될 것인데, 우리는 아직까지 이에 대한 절대적인 정설(定說)을 가지고 있지 못하다.
【原文の直訳】
例えば、有神論と無神論について考えるとき、そのうちのどちらか一つが善だとすれば、他の一つは悪ということになるのであるが、我々はいまだこれに対する絶対的な定説をもつことができていないのである。
【現行の訳文】
例えば、有神論と無神論とについて考えるとき、二つのうちいずれか一つを善とみなせば、他の一つは悪ということになるのであるが、我々はいまだどちらが正しいかということに対する絶対的な定説をもっていないのである。

29
【韓国語原文】
더구나 인간들은 선의 욕망을 일으키는 본심이 무엇이고, 이 본심을 반하여 악의 욕망을 일으키는 사심은 어디로부터 온 것이며, 인간으로 하여금 이러한 모순성을 갖게 하여 파멸을 초래케 한 근본 원인은 어디에 있는가 하는 것 등의 문제에 대하여는 전혀 모르고 있는 것이다.
【原文の直訳】
さらに、人間たちは、善の欲望を起こす本心が何であり、この本心に反して悪の欲望を起こす邪心はどこから来たものであり、人間をしてこのような矛盾性をもたせ、破滅を招来させた根本原因はどこにあるのかなどの問題に対しては、全く知らずにいるのである。
【現行の訳文】
いわんや、人間は、善の欲望を生ぜしめる本心というものがそもそもいかなるものなのか、また、この本心に反して悪の欲望を起こさしめる邪心というものがいったいどこから生じてくるものなのか、さらにまた、人間にこのような矛盾性をもたしめ、破滅を招来せしめるその根本原因はいったい何なのかなどという問題に対しては、全く無知なのである。

30
【韓国語原文】
그러므로 우리가 이제 악의 욕망을 물리치고 선의 욕망을 따라 본심이 지향하는 선의 생활을 하기 위하여는 이 무지(無知)를 완전히 극복함으로써 선악(善惡)을 판별할 수 있어야 한다.
【原文の直訳】
それゆえ、我々が今、悪の欲望を退け、善の欲望に従い、本心が指向する善の生活をするためには、この無知を完全に克服することによって、善悪を判別できなければならない。
【現行の訳文】
それゆえ、我々が悪の欲望を抑え、善の欲望に従い、本心が指向する善の生活をなすためには、この無知を完全に克服して、善悪を判別できるようにならなければならないのである。

31
【韓国語原文】
인간의 타락을 지적인 면에서 본다면, 그것은 바로 인간이 무지에 떨어진 것을 의미한다.
【原文の直訳】
人間の堕落を知的な面から見れば、それは正に人間が無知に陥ったことを意味するのである。
【現行の訳文】
人間の堕落を知的な面から見れば、それはとりもなおさず、我々人間が無知に陥ったということを意味するのである。

32
【韓国語原文】
그런데 인간은 마음과 몸의 내외(內外) 양면으로 되어 있기 때문에, 지적인 면에 있어서도 내 외 양면의 지(知)를 가지고 있다.
【原文の直訳】
それで、人間は心と体の内外両面からなっているので、知的な面においても、内外両面の知をもっている。
【現行の訳文】
ところで、人間は、心と体との内外両面からなっているので、知的な面においても、内外両面の知をもっているわけである。

33
【韓国語原文】
따라서 무지에도 내적인 무지와 외적인 무지의 두 가지가 있게 된다.
【原文の直訳】
したがって、無知にも、内的な無知と外的な無知の二種類があることになる。
【現行の訳文】
したがって、無知にも、内的な無知と外的な無知との二種類がある。

34
【韓国語原文】
내적인 무지란 종교적으로 말하자면 영적인 무지를 말하는 것으로서, 인간은 어디로부터 왔으며, 생(生)의 목적은 무엇이며, 사후(死後)에는 어떻게 되는가, 그리고 내세(來世)와 하나님에 대한 존재 여부, 또 위에서도 말한 바와 같이 선과 악은 무엇인가 하는 문제 등에 대한 무지인 것이다.
【原文の直訳】
内的な無知とは、宗教的に言えば、霊的な無知をいうのであり、人間はどこから来たのであり、生の目的は何であり、死後にはどのようになるのか、そして来世と神(ハナニム)は存在するのかしないのか、また既に述べたように、善と悪とは何かという問題などに対する無知である。
【現行の訳文】
内的な無知とは、宗教的にいえば、霊的無知をいうのであって、人間はどこから来たのか、生の目的とは何か、死後はいったいどうなるのか、更に進んで、来世や神などというものは果たして存在するのか、また既に述べたように、善とか悪とかいうものはいったい何なのかなどという問題に対する無知をいうのである。

36
【韓国語原文】
그리고 외적인 무지란 인간의 육신을 비롯한 자연계에 대한 무지를 말하는 것으로서, 모든 물질세계의 근본은 무엇이며, 그 모든 현상은 각각 어떠한 법칙에 의하여 일어나는가 하는 것 등에 대한 무지인 것이다.
【原文の直訳】
そして、外的な無知とは、人間の肉身をはじめとする自然界に対する無知をいうのであり、すべての物質世界の根本は何であり、そのすべての現象は各々どのような法則によって起きるのか、ということなどに対する無知である。
【現行の訳文】
また、もう一つの外的な無知とは、人間の肉身をはじめとする自然界に対する無知をいうのであり、すべての物質世界の根本は何であるか、また、それらのすべての現象は各々どのような法則によって生ずるのか、という問題などに対する無知をいうのである。

37
【韓国語原文】
인간은 유사이래(有史以來) 오늘에 이르기까지 쉬지 않고 무지(無知)에서 지(知)에로 극복하기 위하여 진리를 찾아 나왔다.
【原文の直訳】
人間は有史以来今日に至るまで、休むことなく、無知から知へと克服していくために真理を求めてきた。
【現行の訳文】
人間は有史以来今日に至るまで、休むことなく、無知から知へと、無知を克服しようとして真理を探し求めてきた。

38
【韓国語原文】
그리하여 내적인 무지에서 내적인 지에로 극복하기 위하여 내적인 진리를 찾아 나온 것이 종교(宗敎)요, 외적인 무지에서 외적인 지에로 극복하기 위하여 외적인 진리를 찾아 나온 것이 과학(科學)이다.
【原文の直訳】
そうして、内的な無知から内的な知へと克服していくために内的な真理を求めてきたのが宗教であり、外的な無知から外的な知へと克服していくために外的な真理を求めてきたのが科学である。
【現行の訳文】
その際、内的無知を克服して内的知に至る道を見いだすべく内的真理を探求してきたのがすなわち宗教であり、外的無知を克服して外的知への道を見いだすべく外的真理を探求してきたのが科学なのである。

39
【韓国語原文】
이와 같이 알고 보면 종교와 과학은 인생의 양면의 무지로부터 양면의 지에 도달하기 위하여 양면의 진리를 찾아 나온 방편임을 알 수 있다.
【原文の直訳】
このように分かってみれば、宗教と科学は、人生の両面の無知から両面の知へと克服していくために両面の真理を求めてきた手段であることを知ることができる。
【現行の訳文】
このような角度から理解すれば、宗教と科学とは、人生の両面の無知を克服して両面の知に至る道を見いだすべく両面の真理をそれぞれ探求する手段であったということを知ることができるのである。

40
【韓国語原文】
그러므로 인간이 이 무지로부터 완전히 해방되어 가지고 본심의 욕망이 지향하는 선한 방향으로만 나아가 영원한 행복을 누리기 위하여는, 종교와 과학이 통일된 하나의 과제로서 해결되어 내외 양면의 진리가 상통하게 되지 않으면 안 된다.
【原文の直訳】
したがって、人間がこの無知から完全に解放され、本心の欲望が指向する善の方向にのみ進んで永遠の幸福を享受するためには、宗教と科学が統一された一つの課題として解決され、内外両面の真理が相通ずるようにならなければならないのである。
【現行の訳文】
それゆえに、人間がこのような無知から完全に解放されて、本心の欲望が指向する善の方向へのみ進み、永遠の幸福を獲得するためには、宗教と科学とが統一された一つの課題として解決され、内外両面の真理が相通ずるようにならなければならないのである。

41
【韓国語原文】
인생의 실제에 있어서 인간이 밟아 온 과정을 두 가지로 대별(大別)햐여 본다면, 첫째는 물질로 된 이 결과의 세계에서 인생의 근본문제를 해결하려는 길이다.
【原文の直訳】
人生の実際において、人間が歩んできた過程を二つに大別してみると、第一は、物質からなるこの結果の世界で、人生の根本問題を解決しようとする道である。
【現行の訳文】
実際の人生の行路において、人間が歩んできた過程を二つに大別してみると、その一つは、物質による結果の世界において、人生の根本問題を解決しようとする道である。

42
【韓国語原文】
이러한 길을 지상(至上)으로 생각하고 걸어온 사람들은, 극도로 발달된 과학 앞에 굴복하여 과학의 만능과 물질적인 행복을 자랑하고 있다.
【原文の直訳】
このような道を至上と考えて歩んできた人たちは、極度に発達した科学の前に屈伏し、科学の万能と物質的な幸福を誇っている。
【現行の訳文】
このような道を至上のものと考えて歩んできた人々は、極度に発達した科学の前に屈伏し、科学の万能と物質的な幸福とを誇りとしている。

43
【韓国語原文】
그러나 인간은 과연 이러한 육신을 중심한 외적인 조건만으로 완전한 행복을 누릴 수 있을 것인가?
【原文の直訳】
しかし、人間は果たして、このような肉身を中心とした外的な条件だけで、完全な幸福を享受することができるだろうか。
【現行の訳文】
しかし人間は、果たして、このような肉身を中心とした外的な条件のみで、完全なる幸福を得ることができるであろうか。

44
【韓国語原文】
과학의 발달이 아무리 안락한 사회환경을 이루고 그 속에서 아무리 부귀(富貴)와 영화(榮華)를 누린다 한들 그것으로써 어찌 속사람의 정신적인 욕구까지 근본적으로 만족시킬 수 있을 것인가?
【原文の直訳】
科学の発達がいくら安楽な社会環境をつくりあげ、その中でいくら富貴と栄華を享受したとしても、それによってどうして内なる人間の精神的な欲求まで、根本的に満足させることができるだろうか。
【現行の訳文】
科学の発達が極めて安楽な社会環境を築き、しかもその中において、人間が、極度の富貴と栄華とを楽しむことができるとしても、これだけで、果たして人間のその内的な精神的欲求までも、完全に満たし得るであろうか。

45
【韓国語原文】
육신의 낙(樂)을 즐기는 속인(俗人)의 기쁨은 청빈(淸貧)을 즐기는 도인(道人)의 기쁨에 미칠 수 없으리라.
【原文の直訳】
肉身の快楽を楽しむ俗人の喜びは、清貧を楽しむ道人の喜びに及ばないであろう。
【現行の訳文】
肉身の快楽にふける俗人の喜びと、清貧を楽しむ道人の喜びとは、全く比べものにならない。

46
【韓国語原文】
왕궁의 영화를 버리고 마음의 보금자리를 찾아 정처 없는 구도(求道)의 행각을 즐긴 것은 비단 석가뿐이 아닐 것이다.
【原文の直訳】
王宮の栄華を捨てて、心の住み家を探し求め、当てのない求道の行脚を楽しだのは、ただ釈迦だけではないであろう。
【現行の訳文】
王宮の栄耀栄華をかなぐり捨てて、心の住み家を探し求め、所定めぬ求道の行脚を楽しむのは、釈迦一人に限ったことではない。

47
【韓国語原文】
사람에 있어서 마음이 있음으로써 온전한 사람이 되는 것과 같이, 기쁨에 있어서도 마음의 기쁨이 있음으로써 비로소 몸의 기쁨도 온전한 것이 되는 것이다.
【原文の直訳】
人において、心があることによって完全な人になるように、喜びにおいても、心の喜びがあることによって初めて、体の喜びも完全なものになるのである。
【現行の訳文】
心があって初めて完全な人間となり得るように、喜びにおいても、心の喜びがあって初めて、肉身の喜びも完全なものとなるのである。

48
【韓国語原文】
육신의 낙을 찾아 과학의 돛을 달고 물질세계를 항해하는 사공이 있는가?
【原文の直訳】
肉身の楽しみを求め、科学の帆を掲げて物質世界を航海する船頭がいるだろうか。
【現行の訳文】
今ここに肉身の快楽を求めて、科学の帆を揚げ、物質世界を航海する一人の船頭がいるとしよう。

49
【韓国語原文】
그가 이상(理想) 하는 그 언덕에 닿아 보라.
【原文の直訳】
彼が理想とするその丘に到達したとしよう。
【現行の訳文】
彼が理想とするその岸に到達したとする。

50
【韓国語原文】
그곳이 바로 그 육신을 묻어야 할 뫼인 것을 알게 되리라.
【原文の直訳】
そこが正に、彼の肉身を埋めなければならない墓であることを知るようになるであろう。
【現行の訳文】
しかし、同時にそこが彼の肉身を埋めねばならない墓場であるということを彼は知るに至るであろう。

 

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