■記事構成について

 原文を文章ごとに分け、それぞれの文章を【韓国語原文】、【原文の直訳】、【現行の訳文】の3つに分けて記載しています。

 【現行の訳文】が直訳されていて変更箇所がない場合、【原文の直訳】を省略し、【原文の直訳】と【現行の訳文】が統合されて一つの文章になっています。

 

■み言の引用について

 『原理講論』の引用文は、2014年5月30日、光言社発行の第五版第一刷から引用したものです。また、聖句の引用は、日本聖書協会発行の『口語訳聖書』からの引用です。

 『口語訳聖書』は原語(旧約聖書はヘブライ語、新約聖書はギリシャ語)から翻訳し、欧米の各言語(特に英語)を参考として訳されているため、『口語訳聖書』からの引用箇所は、韓国語の聖句の直訳になっていないことに留意してください。

■韓国語辞書について

 翻訳するさいに基準としている韓国語の辞書は、小学館の『韓日辞典』(旧『朝鮮語辞典』)です。『韓日辞典』にない場合は、こちらのNAVER「국어사전(国語辞典)」を使います。

https://ko.dict.naver.com/#/main

 

■本文‐総序②

51
【韓国語原文】
그러면 이제 과학(科學)의 갈 곳은 어디일 것인가?
【原文の直訳】
それでは、今や科学の行く所はどこだろうか。
【現行の訳文】
それでは、科学が真に行くべきところはどこであろうか。

52
【韓国語原文】
지금까지의 과학의 연구 대상은 내적인 원인의 세계가 아니고 외적인 결과의 세계였으며, 본질(本質)의 세계가 아니고 현상(現象)의 세계였다.
【原文の直訳】
今までの科学の研究対象は、内的な原因の世界ではなく、外的な結果の世界だったのであり、本質の世界ではなく、現象の世界であった。
【現行の訳文】
今までの科学の研究対象は、内的な原因の世界ではなく、外的な結果の世界であった。本質の世界ではなくして、現象の世界であった。

53
【韓国語原文】
그러나 오늘에 이르러 그의 대상은 외적이며 또한 결과적인 현상의 세계에서 내적이며 또한 원인적인 본질의 세계에로 그 차원을 높이지 않을 수 없는 단계에 들어오고 있다.
【原文の直訳】
しかし、今日に至り、その対象は外的であり、また結果的な現状の世界から、内的であり、また原因的な本質の世界へと、その次元を高めなければならない段階に入ってきているのである。
【現行の訳文】
しかし、今日に至っては、科学の対象は、外的な結果的な現象の世界から内的な原因的な本質の世界へと、その次元を高めなければならない段階に入ってきているのである。

54
【韓国語原文】
그리하여 그 원인적인 심령세계(心靈世界)에 대한 논리, 즉 내적 진리가 없이는 결과적인 실체세계(實體世界)에 대한 과학, 즉 외적 진리도 그 궁극적인 목적을 달성할 수는 없다고 하는 결론을 얻기에 이르렀다.
【原文の直訳】
そうして、その原因的な心霊世界に対する論理、すなわち内的真理がなければ、結果的な実体世界に対する科学、すなわち外的真理も、その究極的な目的を達成することはできないという結論を得るに至ったのである。
【現行の訳文】
ゆえに、その原因的な心霊世界に対する論理、すなわち内的な真理なくしては、結果的な実体世界に対する科学、すなわち外的な真理も、その究極的な目的を達成することはできないという結論を得るに至ったのである。

55
【韓国語原文】
이제 과학의 돛을 달고 외적인 진리의 항해를 마친 사공이 또 하나의 종교의 돛을 달고 내적인 진리의 항로에로 들어오게 될 때, 비로소 그는 본심이 지향하는 이상향(理想鄕)에로 항행(航行)할 수 있게 될 것이다.
【原文の直訳】
今や、科学の帆を掲げて外的な真理の航海を終えた船頭が、もう一つの宗教の帆を掲げて内的な真理の航路へと入ってくるようになるとき、初めて彼は本心が指向する理想郷へと航行できるようになるのである。
【現行の訳文】
今や、科学の帆を揚げて外的な真理の航海を終えた船頭が、今また一つ宗教の帆を掲げて、内的な真理の航路へとその舳先を変えるとき、ここに初めて本心が指向する理想郷へと航海を進めていくことができるのである。

56
【韓国語原文】
인간이 밟아 온 과정의 그 둘째는 결과적인 현상세계(現象世界)를 초월하여 원인적인 본질세계(本質世界)에서 인생의 근본문제를 해결하려는 것이다.
【原文の直訳】
人間が歩んできた過程のその第二は、結果的な現象世界を超越して、原因的な本質世界で、人生の根本問題を解決しようとするものである。
【現行の訳文】
人間が歩んできたいま一つの過程は、結果的な現象世界を超越して、原因的な本質世界において、人生の根本問題を解決しようとする道であった。

57
【韓国語原文】
그런데 이 길을 밟아 온 이제까지의 철학이나 종교가 많은 공헌을 한 것이 사실이지만, 그 반면에 우리에게 너무나 많은 정신적인 짐을 지워 주고 있는 것도 사실이다.
【原文の直訳】
それで、この道を歩んできた今までの哲学や宗教が多くの貢献をしたことは事実だが、その反面、我々にあまりにも多くの精神的な負担を背負わせているのも事実である。
【現行の訳文】
この道を歩んできたこれまでの哲学や宗教が多大の貢献をなしたことは事実である。しかしながらその反面、それらが我々にあまりにも多くの精神的な重荷を負わせてきたということも、また否定することのできない事実であろう。

58
【韓国語原文】
그리하여 역사상에 왔다 간 모든 철인(哲人)들과 성현(聖賢)들은 인생의 갈 길을 열어 주려고 각각 당시대에 있어서 선구적인 개척의 길로 나섰던 것이었으나, 그들이 해 놓은 일들은 모두 오늘의 우리에게 더 무거운 짐이 되고 말았다.
【原文の直訳】
そうして、歴史上に来てはいったすべての哲人と聖賢たちは、人生の行く道を開いてあげようと、それぞれその時代において、先駆的な開拓の道に立ち上がったのだが、彼らがしておいたことは、すべて今日の我々により重い荷物になってしまった。
【現行の訳文】
歴史上に現れたすべての哲人、聖賢たちは、人生の行くべき道を見いだすべく、それぞれその時代において、先駆的な開拓の道に立たされたのであるが、彼らが成し遂げた業績はすべて、今日の我々にとってはかえって重荷となってしまっているのである。

59
【韓国語原文】
이제 다시 냉철히 생각해 보자.
【原文の直訳】
今また冷徹に考えてみよう。
【現行の訳文】
このことについて我々はもう一度冷静になって考えてみる必要があるのではなかろうか。

60
【韓国語原文】
어느 철인이 우리의 고민을 풀어 주었으며, 어느 성현이 인생과 우주의 근본문제를 해결하여 우리의 갈 길을 뚜렷이 보여 주었던가?
【原文の直訳】
どの哲人が我々の悩みを解いてくれ、どの聖賢が人生と宇宙の根本問題を解決して、我々の行く道を明確に示してくれただろうか。
【現行の訳文】
哲人の中のだれが我々の苦悶を最終的に解決してくれたであろうか。聖賢の中のだれが人生と宇宙の根本問題を解決し、我々の歩むべき道を明確に示してくれたであろうか。

61
【韓国語原文】
그들이 제시한 주의(主義)와 사상(思想)이란 것은 도리어 우리들이 해결하고 가야 할 잡다한 회의(懷疑)와 수많은 과제들을 제기해 놓은 데 지나지 않았던 것이다.
【原文の直訳】
彼らが提示した主義と思想というものは、かえって我々が解決していかなければならない雑多な懐疑と数多くの課題を提起したにすぎなかったのである。
【現行の訳文】
彼らが提示した主義や思想は、むしろ我々が解決して歩まなければならない種々様々の懐疑と、数多くの課題とを提起したにすぎなかったのである。

62
【韓国語原文】
그리고 모든 종교가 어둠 속에서 헤매던 당시대의 많은 심령(心靈)들에게 비춰 주던 소생(蘇生)의 빛은 시대의 흐름과 더불어 어느덧 꺼져 버리고, 이제는 타다 남은 희미한 불똥만이 그들의 잔해를 드러내고 있다.
【原文の直訳】
そして、あらゆる宗教が暗闇の中でさまよっていたその時代の数多くの心霊たちを照らしていた蘇生の光は、時代の流れとともにいつしか消えうせてしまい、今や燃え残ったかすかな火の粉のみが、彼らの残骸を表している。
【現行の訳文】
そうして、あらゆる宗教は、暗中模索していたそれぞれの時代の数多くの心霊の行く手を照らしだしていた蘇生の光を、時の流れとともにいつしか失ってしまい、今やそのかすかな残光のみが、彼らの残骸を見苦しく照らしているにすぎないのである。

63
【韓国語原文】
온 인류의 구원(救援)을 표방하고 2천년 역사의 소용돌이 속에서 성장하여 오늘날 세계적인 판도를 가지게 된 기독교(基督敎)의 역사를 들추어 보라.
【原文の直訳】
すべての人類の救援を標榜して、二〇〇〇年の歴史の渦巻の中で成長し、今日、世界的な版図をもつようになったキリスト教の歴史を取りあげてみよう。
【現行の訳文】
すべての人類の救済を標榜して、二〇〇〇年の歴史の渦巻の中で成長し、今や世界的な版図をもつようになったキリスト教の歴史を取りあげてみよう。

64
【韓国語原文】
로마제국의 그 잔학무도(殘虐無道)한 박해 속에서도 오히려 힘찬 생명의 불길을 던져, 로마인들로 하여금 돌아가신 예수님 앞에 무릎을 꿇게 하였던 기독정신(基督精神)은 그 후에 어떻게 되었는가?
【原文の直訳】
ローマ帝国のその残虐無道な迫害の中でも、むしろ力強い命の炎を投げかけ、ローマ人たちをして、亡くなったイエス様の前にひざまずかせたキリスト精神は、その後どうなったのであろうか。
【現行の訳文】
ローマ帝国のあの残虐無道の迫害の中にあっても、むしろますます力強く命の光を燃え立たせ、ローマ人たちをして、十字架につけられたイエスの死の前にひざまずかせた、あのキリストの精神は、その後どうなったのであろうか。

65
【韓国語原文】
이윽고 중세봉건사회(中世封建社會)는 기독교를 산 채로 매장해 버리고 말았던 것이다.
【原文の直訳】
やがて中世封建社会は、キリスト教を生きたまま埋葬してしまったのである。
【現行の訳文】
悲しいかな、中世封建社会は、キリスト教を生きながらにして埋葬してしまったのである。

66
【韓国語原文】
이 무덤 속에서 새로운 생명을 절규하는 종교개혁(宗敎改革)의 봉화는 들렸었으나, 이 불길도 격동하는 어둠의 물결을 막아낼 수는 없었다.
【原文の直訳】
この墓の中から、新しい命を絶叫する宗教改革ののろしは上げられたが、この炎も激動する暗闇の波を防ぎとめることはできなかった。
【現行の訳文】
この墓場の中から、新しい命を絶叫する宗教改革ののろしは空高く輝きはじめたのであったが、しかし、その光も激動する暗黒の波を支えきることはできなかった。

67
【韓国語原文】
에클레시아(ecclesia)의 사랑이 꺼지고 자본주의의 재욕(財慾)의 바람이 유럽의 기독교 사회를 휩쓸어 기아(饑餓)에 허덕이는 수많은 서민들이 빈민굴에서 아우성을 칠 때, 그들에 대한 구원의 함성은 하늘이 아닌 땅으로부터 들려 왔던 것이다.
【原文の直訳】
エクレシア(ecclesia:キリスト教会)の愛が消え、資本主義の財欲の嵐がヨーロッパのキリスト教社会を襲い、飢餓に苦しむ数多くの庶民たちが貧民窟で叫び声をあげるとき、彼らに対する救いの喊声は、天ではなく地から聞こえてきたのであった。
【現行の訳文】
初代教会の愛が消え、資本主義の財欲の嵐が、全ヨーロッパのキリスト教社会を吹き荒らし、飢餓に苦しむ数多くの庶民たちが貧民窟から泣き叫ぶとき、彼らに対する救いの喊声は、天からではなく地から聞こえてきたのであった。

68
【韓国語原文】
그것이 바로 공산주의(共産主義)다.
【原文の直訳】
それが正に共産主義である。
【現行の訳文】
これがすなわち共産主義である。

69
【韓国語原文】
하나님의 사랑을 부르짖고 나선 기독교가 그 구호만을 남긴 에클레시아의 잔해로 돌아갔을 때, 거기에서 그렇게 무자비한 하나님은 있을 수 없다고 하는 반기가 들렸던 사실은 있을 만하기도 하다.
【原文の直訳】
神の愛を叫んで出発したキリスト教が、その掛け声のみを残したエクレシアの残骸と化したとき、そこで、そのように無慈悲な神はいるはずがないと反旗を翻したという事実は、あってしかるべきことである。
【現行の訳文】
神の愛を叫びつつ出発したキリスト教が、その叫び声のみを残して初代教会の残骸と化してしまったとき、そのように無慈悲な神はいるはずがないと、反旗を翻す者たちが現れたとしても無理からぬことである。

70
【韓国語原文】
이렇게 되어 나타난 것이 바로 유물사상(唯物思想)이다.
【原文の直訳】
このようにして現れたのが正に唯物思想である。
【現行の訳文】
このようにして現れたのが唯物思想であった。

71
【韓国語原文】
그리하여 기독교 사회는 유물사상의 온상이 되었다.
【原文の直訳】
そのようにして、キリスト教社会は唯物思想の温床となったのである。
【現行の訳文】
かくしてキリスト教社会は唯物思想の温床となったのである。

72
【韓国語原文】
공산주의는 이 온상에서 좋은 거름을 흡수하면서 무럭무럭 자랐다.
【原文の直訳】
共産主義はこの温床から良い肥料を吸収しながら、すくすくと成長していった。
【現行の訳文】

73
【韓国語原文】
저들의 실천을 능가할 수 있는 능력을 잃어버렸고 저들의 이론을 극복할 수 있는 진리를 제시하지 못한 기독교는, 저들이 바로 자기의 품속에서 싹트고 자라서 그 판도를 세계적으로 넓혀 가는 것을 보면서도 속수무책(束手無策)이니 이 어찌 한심스러운 일이 아니겠는가?
【原文の直訳】
彼らの実践を凌駕できる能力を失ってしまい、彼らの理論を克服できる真理を提示できなかったキリスト教は、それらがまさに自己の懐から芽生え、育ち、その版図を世界的に広めていくのを眺めながらも、手をこまねいているだけでなす術がないのであるから、あまりに嘆かわしいことではないだろうか。
【現行の訳文】
彼らの実践を凌駕する力をもたず、彼らの理論を克服できる真理を提示し得なかったキリスト教は、共産主義が自己の懐から芽生え、育ち、その版図を世界的に広めていく有様を眼前に眺めながらも、手を束ねたまま、何らの対策も講ずることができなかったのである。これは甚だ寒心に堪えないことであった。

74
【韓国語原文】
그뿐 아니라 온 인류가 한 부모의 후예(後裔)임을 교리로써 가르치고 또 그와 같이 믿고 있는 기독교국가의 바로 그 국민들이 다만 피부의 빛깔이 다름을 인하여 그 형제들과 자리를 같이할 수 없게 된 현실은, 그리스도의 말씀에 대한 실천력을 잃어버리고 회칠한 무덤같이 형식화해 버린 현하(現下) 기독교의 실상을 드러내고 있는 그 대표적인 예라 하겠다.
【原文の直訳】
のみならず、すべての人類が同じ父母から生まれた子孫であることを教理として教え、またそのように信じているキリスト教国家のまさにその国民たちが、ただ皮膚の色の違いによって、その兄弟たちと場を共にすることができなくなった現実は、キリストのみ言に対する実践力を失ってしまい、白く塗った墓のごとく形式化してしまった現下のキリスト教の実相を表している、その代表的な例といえよう。
【現行の訳文】
のみならず、すべての人類はみな同じ父母から生まれた子孫であるという教理に従って、それを教え、かつ信じているキリスト教国家の国民たちが、皮膚の色が違うというただそれだけの理由をもって、その兄弟たちと生活を同じくすることができないという現実は、キリストのみ言に対する実践力が失われ、灰色に塗られた墓場のごとく形式化してしまった現下のキリスト教の実情を、そのまま浮き彫りにする代表的な例だということができよう。

75
【韓国語原文】
이와 같은 사회적인 비극은 인간의 노력에 따라서는 종식될 날이 올는지도 모른다.
【原文の直訳】
このような社会的な悲劇は、人間の努力によっては、終息する日が来るかもしれない。
【現行の訳文】
しかし、このような社会的な悲劇は、人間の努力いかんによって、あるいは終わらせることができるかもしれない。

76
【韓国語原文】
그러나 인간의 노력으로는 도저히 수습할 수 없는 사회악(社會惡)이 또 있다.
【原文の直訳】
しかし、その上に、人間の努力ではとうてい収拾できない社会悪がある。
【現行の訳文】
けれども、人間の努力をもってしては、いかんともなし得ない社会悪が一つある。

77
【韓国語原文】
음란(淫亂)이 바로 그것이다.
【原文の直訳】
淫乱が正にそれである。
【現行の訳文】
それは、淫乱の弊害である。

78
【韓国語原文】
그러므로 기독교의 교리는 이것을 죄 중의 가장 큰 죄로 다루고 있으면서도, 오늘의 기독교 사회가 현세인들이 몰려가는 이 윤락(淪落)의 길을 막을 수 없게 되었으니, 이 또한 얼마나 눈물겨운 실정인가!
【原文の直訳】
したがって、キリスト教の教理は、これを罪の中の最も大きな罪として扱っていながらも、今日のキリスト教社会が、現世人たちが追われていくこの淪落の道を防ぐことができなくなったのであるから、これまたどれほど涙を禁じ得ない実情だろうか。
【現行の訳文】
キリスト教の教理では、これはすべての罪の中でも最も大きな罪として取り扱われているのであるが、しかし、今日のキリスト教社会が、現代人が陥っていくこの淪落への道を防ぐことができずにいるということは、何よりもまた嘆かわしい実情といわなければなるまい。

79
【韓国語原文】
이와 같이 오늘의 기독교(基督敎)가 이러한 세대의 흐름 가운데서 혼돈되고 분열되어, 패륜(悖倫)의 와중(渦中)으로 끌려 들어가고 있는 생명들에 대하여 속수무책으로 바라보고만 있는 현실은 무엇을 의미하는 것인가?
【原文の直訳】
今日のキリスト教が、そのような世代の流れの中で、混沌となり、分裂し、破倫の渦中に巻き込まれていきつつある命に対して、手をこまねいてなす術がなく見つめてばかりいる現実は、何を意味するのであろうか。
【現行の訳文】
今日のキリスト教が、そのような世代の激流の中で、混乱し、分裂し、背倫の渦の中に巻きこまれていこうとする数多くの命に対して、手を束ねたまま何らの対策をも立てることができないというこの現実は、いったい何を意味するのであろうか。

80
【韓国語原文】
이것은 바로 종래의 기독교가 현대 인류에 대한 구원섭리(救援攝理)에 있어서 얼마나 무능한 입장에 있는가 하는 사실을 여실히 증명하는 것이라고 볼 수밖에 없는 것이다.
【原文の直訳】
これは正に、従来のキリスト教が、現代の人類に対する救援摂理において、どれほど無能な立場にいるかという事実を如実に証明するものであると見ざるをえないのである。
【現行の訳文】
それは、従来のキリスト教が、現代の人類に対する救いの摂理において、いかに無能な立場に立っているかという事実を如実に証明するものと見なければならないのである。

81
【韓国語原文】
그러면 내적인 진리를 찾아 나오던 종교인(宗敎人)들이 오늘에 이르러 그 본연의 사명을 다하지 못하게 된 원인은 어디에 있는 것일까?
【原文の直訳】
それでは、内的な真理を探し求めてきた宗教人たちが、今日に至ってその本然の使命を全うすることができなくなった原因は、どこにあるのだろうか。
【現行の訳文】
それでは、内的な真理を探し求めてきた宗教人たちが、その本来の使命を全うすることができなくなった原因は、いったいどこにあるのだろうか。

82
【韓国語原文】
본질세계(本質世界)와 현상세계(現象世界)와의 관계는 비유컨대 마음과 몸과의 관계와 같아서 원인적인 것과 결과적인 것, 내적인 것과 외적인 것, 그리고 주체적인 것과 대상적인 것의 관계를 가지고 있다.
【原文の直訳】
本質世界と現象世界との関係は、例えていうならば、心と体との関係に等しく、原因的なものと結果的なもの、内的なものと外的なもの、そして、主体的なものと対象的なものとの関係をもっているのである。
【現行の訳文】

83
【韓国語原文】
마치 마음과 몸이 완전히 합해야만 완전한 인격을 이루는 것과 같이 본질과 현상의 두 세계도 완전히 합치되어야만 이상세계(理想世界)를 이룰 수 있는 것이다.
【原文の直訳】
あたかも心と体が完全に一つになってこそ完全な人格をつくりあげるように、本質と現象の二つの世界が完全に合致して初めて、理想世界をつくりあげることができるのである。
【現行の訳文】
心と体とが完全に一つになってこそ完全なる人格をつくることができるように、本質と現象との二つの世界も、それらが完全に合致して初めて、理想世界をつくることができるのである。

84
【韓国語原文】
그러므로 마치 마음과 몸이 그러하듯이 본질세계를 떠난 현상세계가 있을 수 없고, 현상세계를 떠난 본질세계도 있을 수 없는 것이다.
【原文の直訳】
それゆえ、ちょうど心と体がそうであるように、本質世界を離れた現象世界はあり得ず、現象世界を離れた本質世界もあり得ないのである。
【現行の訳文】
それゆえ、心と体との関係と同じく、本質世界を離れた現象世界はあり得ず、現象世界を離れた本質世界もあり得ないのである。

85
【韓国語原文】
따라서 현실(現實)을 떠난 내세(來世)는 있을 수 없는 것이므로, 진정한 육신의 행복이 없이 그의 심령적(心靈的)인 기쁨도 있을 수 없다.
【原文の直訳】
したがって、現実を離れた来世はあり得ないがゆえに、真の肉身の幸福なくしては、その心霊的な喜びもあり得ないのである。
【現行の訳文】

86
【韓国語原文】
그런데 지금까지 종교(宗敎)는 내세를 찾기 위하여 현실을 부정하기에 필사적이었으며, 심령적인 기쁨을 위하여 육신의 행복을 멸시하기에 몸부림쳐 왔다.
【原文の直訳】
ところが、今まで宗教は、来世を探し求めるために、現実を否定することに必死だったのであり、心霊的な喜びのために、肉身の幸福を蔑視することに苦闘してきたのである。
【現行の訳文】
しかしながら、今日までの宗教は来世を探し求めるために、現実を必死になって否定し、心霊的な喜びのために、肉身の幸福を蔑視してきたのである。

87
【韓国語原文】
그러나 끊어 버리려야 끊어 버릴 수 없는 현실과, 떼어 버리려야 떼어 버릴 수 없이 그림자처럼 따라다니는 육신적인 행복욕(幸福慾)은 집요하게 도인(道人)들을 붙들어 오뇌(懊惱)의 골짜기로 몰아가고 있다.
【原文の直訳】
しかし、断ち切ろうとしても断ち切ることのできない現実と、離そうとしても離すことができず影のように付きまとう肉身的な幸福欲は、執拗に修道者たちを捕らえ、懊悩の谷へと追いやっているのである。
【現行の訳文】
しかしながら、いかに否定しようとしても否定できない現実と、離れようとしても離れることができず影のように付きまとう肉身的な幸福への欲望が、執拗に修道者たちを苦悩の谷底へと引きずっていくのである。

88
【韓国語原文】
우리는 여기에서 종교인들의 도(道)의 생활에도 이러한 모순성이 있는 것을 발견하였다. 이 모순성을 내포한 도인생활의 파멸, 이것이 바로 오늘의 종교인들의 생태인 것이다.
【原文の直訳】
このことから、宗教人たちの修道の生活にもこのような矛盾性があることを発見した。この矛盾性を内包した修道生活の破滅、これが正に今日の宗教人たちの生態なのである。
【現行の訳文】
 ここにおいて、我々は、宗教人たちの修道の生活の中にも、このような矛盾性のあることを発見するのである。このような矛盾性を内包した修道生活の破滅、これがとりもなおさず今日の宗教人たちの生態なのである。

89
【韓国語原文】
이와 같이 자가당착(自家撞着)을 타개하지 못하고 있는 데에 현대의 종교가 무위화(無爲化)한 주요한 원인이 있는 것이다.
【原文の直訳】
このように、自家撞着を打開できずにいるところに、現代の宗教が無力化した主要な原因があるのである。
【現行の訳文】
このように、自家撞着を打開できないところに、現代の宗教が無能化してしまった主要な原因があると思われるのである。

90
【韓国語原文】
이제 종교가 이와 같은 운명의 길을 가게 된 또 하나의 주요한 원인이 있다.
【原文の直訳】
今や宗教がこのような運命の道を行くようになった、もう一つの重要な原因がある。
【現行の訳文】
さて、宗教が、このような運命の道をたどるようになったのには、更にもう一つの重要な原因があるのである。

91
【韓国語原文】
즉 과학의 발달에 따라 인간의 지성(知性)이 최고도로 계발(啓發)된 나머지 현대인은 모든 사물에 대한 과학적인 인식을 필요로 하고 있음에도 불구하고, 구태의연(舊態依然)한 종교의 교리에는 그의 과학적인 해명이 전적으로 결여(缺如)되어 있다는 사실이다.
【原文の直訳】
つまり、科学の発達に伴い、人間の知性が最高度に啓発された結果、現代人はすべての事物に対する科学的な認識を必要としているにもかかわらず、旧態依然の宗教の教理には、その科学的な解明が全面的に欠如しているという事実である。
【現行の訳文】
それは、科学の発達に伴い、人間の知性が最高度に啓発された結果、現代人はすべての事物に対して科学的な認識を必要とするようになったにもかかわらず、旧態依然たる宗教の教理には、科学的な解明が全面的に欠如しているという事実である。

92
【韓国語原文】
즉 위에서 이미 언급한 바 내적인 진리와 외적인 진리가 서로 일치된 해명을 가지지 못한 데 그 원인이 있는 것이다.
【原文の直訳】
すなわち、既に前述したように、内的な真理と外的な真理による解明が互いに一致できていないところに、その原因があるのである。
【現行の訳文】
すなわち、既に述べたように、内的な真理と外的な真理とが、いまだに一致点に到達できていないというところに、その原因があるのである。

93
【韓国語原文】
종교(宗敎)의 궁극적인 목적은 먼저 마음으로 믿고 그것을 실천함으로써 달성되는 것이다.
【原文の直訳】
宗教の究極的な目的は、まず心で信じ、それを実践することによって達成されるのである。
【現行の訳文】
宗教の究極的な目的は、まず心をもって信じ、それを実践することによって初めて達成されるのである。

94
【韓国語原文】
그런데 그 믿음은 앎이 없이는 생길 수 없다.
【原文の直訳】
しかし、その信じることは、知ることなしには生じ得ない。
【現行の訳文】
ところで、信ずるということは、知ることなしにはあり得ないことである。

95
【韓国語原文】
우리가 경서(經書)를 연구하는 것도 결국은 진리를 알아서 믿음을 세우기 위함이요, 예수님이 오셔서 이적(異蹟)과 기사(奇事)를 행하심도 그가 메시아 됨을 알려서 믿게 하기 위함이었던 것이다.
【原文の直訳】
我々が経典を研究するのも、結局は真理を知って信仰を立てるためであり、イエス様が来られて奇跡を行われたというのも、彼がメシアであることを知らせて、信じさせるためであった。
【現行の訳文】
我々が聖書を研究するのも、結局は真理を知ることによって信仰を立てるためであり、イエスが様々の奇跡を行われたというのも、彼がメシヤであることを知らせて、信じさせるためであった。

96
【韓国語原文】
그리고 안다는 것은 곧 인식하는 것을 의미하는 것인데, 인간은 논리적이며 실증적인 것 즉 과학적인 것이 아니면 인식할 수 없으며, 따라서 그것을 알아 가지고 믿는 데까지 이를 수도 없게 되어 결국 종교의 목적을 달성할 수 없게 되는 것이다.
【原文の直訳】
そして、知るということは、つまり認識するということを意味するのであるが、人間は論理的で実証的なもの、すなわち科学的なものでなければ、認識することはできず、したがって、それを知って信じるところまで至ることもできなくなり、結局、宗教の目的を達成することができなくなるのである。
【現行の訳文】
ここにおいて、知るということは、すなわち、認識するということを意味するのであるが、人間は、あくまでも論理的であると同時に、実証的なもの、すなわち科学的なものでなければ、真に認識するということはできないので、結局、宗教も科学的なものでない限り、よく知ってそれから信ずるということが不可能となり、宗教の目的を達成することはできないという結論に到達するのである。

97
【韓国語原文】
이와 같이 내적인 진리에도 논증적인 해명이 필요하게 되어, 종교는 오랜 역사의 기간을 통하여 그 자체가 과학적으로 해명될 수 있는 시대를 추구해 나왔던 것이다.
【原文の直訳】
このように、内的な真理にも論証的な解明が必要となり、宗教は長い歴史の期間を通じて、それ自体が科学的に解明され得る時代を追求してきたのである。
【現行の訳文】
このように、内的真理にも論証的な解明が必要となり、宗教は長い歴史の期間を通じて、それ自体が科学的に解明できる時代を追求してきたのである。

98
【韓国語原文】
이와 같이 종교와 과학은 인생의 양면의 무지(無知)를 타개하기 위한 사명을 각각 분담하고 출발하였기 때문에 그 과정에 있어서는 그것들이 상충하여 서로 타협할 수 없을 것 같은 양상(樣相)을 보여 왔으나, 인간이 그 양면의 무지를 완전히 극복하여 본심이 요구하는 선(善)의 목적을 완전히 이루자면, 어느 때든지 과학을 찾아 나온 종교와 종교를 찾아 나온 과학을 통일된 하나의 과제로서 해결해 주는 새 진리가 나와야 하는 것이다.
【原文の直訳】
このように、宗教と科学は、人生の両面の無知を打開する使命を、各々分担して出発したがゆえに、その過程においては、それらが相容れず、互いに妥協できないと思えるような様相を見せてきたのであり、人間がその両面の無知を完全に克服し、本心が要求する善の目的を完全に成し遂げようとすれば、いつかは科学を探し求めてきた宗教と、宗教を探し求めてきた科学を、統一された一つの課題として解決してくれる、新しい真理が現れなければならないのである。
【現行の訳文】
このように、宗教と科学とは、人生の両面の無知を打開するための使命を、各々分担して出発したがゆえに、その過程においては、それらが互いに衝突して、妥協し難い様相を呈したのであるが、人間がこの両面の無知を完全に克服して、本心の要求する善の目的を完全に成就するためには、いつかは、科学を探し求めてきた宗教と、宗教を探し求めてきた科学とを、統一された一つの課題として解決することのできる、新しい真理が現れなければならないのである。

99
【韓国語原文】
새 진리(眞理)가 나와야 한다는 주장은 종교인들, 특히 기독교 신도들에게는 못마땅하게 생각될는지도 모른다.
【原文の直訳】
新しい真理が現れなければならないという主張は、宗教人たち、特にキリスト教信徒たちには、納得がいかないと思うかもしれない。
【現行の訳文】
新しい真理が現れなければならないという主張は、宗教人たち、特にキリスト教信徒たちにとっては、理解し難いことのように思われるかもしれない。

100
【韓国語原文】
왜냐하면 그들은 그들이 가지고 있는 경서가 이미 그것만으로써 완전무결한 것이라고 생각하고 있기 때문이다.
【原文の直訳】
なぜなら、彼らは、彼らがもっている経典が、すでにそれだけで完全無欠なものだと考えているからである。
【現行の訳文】
なぜなら、彼らは、彼らのもっている聖書が、それ自体で完全無欠なものだと考えているからである。

 

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