上記のみ言のように、再臨のメシヤが降臨されてからの時代は、「メシヤのための天宙的基台」を完成しなければならない時代です。この時代を「成約時代の摂理的同時性」として解明していきます。
第1章では、まず「成約時代の摂理的同時性」の総論として、その概要について解説します。
第1節 摂理的同時性の時代は今も継続している
最初に『原理講論』から摂理的同時性の時代について確認しておきましょう。
再臨のメシヤは第3アダムの立場なので、三段階原則によってその時代にみ旨が成就するため、これ以上の歴史の延長や反復はないと考える方もいるかもしれません。
ただ、それは人間の責任分担が完遂され、地上天国が実現することが前提となっています。
本来ならイエス様の時代に神様のみ旨は成就するはずでしたが、人間が責任分担を完遂できずに摂理は延長しました。
『原理講論』の終末論では、このことについて次のように説明しています。
ですから、再臨のメシヤの時代にも、もし人間の責任分担が完遂されなければ、み旨の対する予定は絶対的なので、神様の復帰摂理は延長されてしまうはずです。
そして、冒頭のみ言のように、再臨のメシヤの時代は、「メシヤのための天宙的基台」を完成しなければならない時代です。
もしこの基台が完成していれば、再臨のメシヤはこの基台の上で、すでに地上天国を実現しているはずです。
ところが、『原理講論』のp599に「イエスの初臨のときと彼の再臨のときとは、摂理的な同時性の時代である。それゆえに、今日のキリスト教を中心として起こっているすべての事情は、イエス当時のユダヤ教を中心として起こったあらゆる事情にごく似かよっている」とあります。
このように、再臨のメシヤと、第二イスラエルのキリスト教がいまだ一つになっていないとすれば、摂理的同時性の時代は今も継続しているとみなければならないでしょう。
「メシヤのための家庭的基台」を復帰する旧約前の時代では、アダム家庭、ノア家庭、アブラハム家庭を中心とする復帰摂理が展開され、アブラハムの時代は三度目の摂理でした。
しかし、アブラハムを中心としてはみ旨が成就されずに摂理が延長され、ヤコブのときに「メシヤのための家庭的基台」を造成することができました。
そのため、復帰摂理の観点から見たとき、アブラハムとイサクとヤコブの三代は一体と見なし、ヤコブの勝利はアブラハムの勝利となります。
このような三代が一体となってみ旨を成就するという原則は、再臨主を中心とする復帰摂理でも同じように適用されます。
第2節 蕩減期間短縮の時代的な恵沢
(1)復帰摂理と蕩減期間の延長原則
このように、神様を中心として見てみるときは、7000年の恨の道を歩まれたのであり、宗教は700年の歴史を中心として歩みます。したがって、キリスト教が勝利していれば、イエス様の再臨も、最初の700年の期間に成し遂げられていたでしょう。それができなかったので、イスラームのシーア派のように、異邦民族の宗教が再臨思想をもって出てきたのです。 このように宗教は700年の運勢を中心として歩むのですが、召命された預言者たちは、個人的に70年の運勢をもって歩みます。したがって、神様は7000年の恨の道を行かなければならないのであり、宗教は700年の恨の道を行かなければならないのであり、人間は70年の恨の人生の道を行かなければなりません。(中略)
70年の運勢を経て成し遂げた基盤の上に、主が来られるようになっています。それでは、主が来られて何をするのでしょうか。この地に来て、70年の運勢を7年に短縮するのです。ですから、7000年の恨の道が、宗教が出てくることによって700年に短縮され、700年の運勢が70年に短縮され、70年の運勢が、希望の一時が訪れることによって7年に短縮されるというのです。(『文鮮明先生御言選集』20-329 1968.7.14)
(2)旧約前時代の時代的な恵沢
(3)旧約時代と新約時代の時代的な恵沢
東西王朝分立時代400年 ⇒ 天地王権分立時代4年(2012年9月~16年8月)
法王捕虜及び帰還時代210年 ⇒ 真の母捕虜及び帰還時代2年(2016年9月~18年8月)
メシヤ再降臨準備時代400年 ⇒ 三大王権完成準備時代4年(2018年9月~22年8月)
第3節 蕩減期間の短縮がなぜ時代的な恵沢なのか
(1)蕩減期間の短縮に関するみ言
(2)成約時代の十字架(文鮮明先生の聖和)による蕩減期間の短縮
第4節 「成約時代の摂理的同時性」全体図の概要
(1)メシヤのための基台の範囲から見た時代区分
「統一原理」では、アダムから現在までの人類歴史全体を、「メシヤのための基台の範囲」という観点から次のように区分しています。
③信仰の期間を蕩減復帰する摂理から見た時代区分
(イ)アダムからアブラハムまでの二〇〇〇年期間は、サタンに奪われたこの期間を、アブラハム一人を立てることによって、天のものとして蕩減復帰し得る、旧約時代のための基台をつくった時代であったので、この時代を「蕩減復帰基台摂理時代」という。
(ロ)アブラハムからイエスまでの二〇〇〇年期間は、アブラハムの献祭の失敗によって、サタンに奪われたアダムからの二〇〇〇年期間を、イスラエル民族を中心として、再び天のものとして蕩減復帰する時代であったので、この時代を「蕩減復帰摂理時代」という。
(ハ)イエスからその再臨期までの二〇〇〇年期間は、イエスが十字架で亡くなられることによって、サタンに奪われるようになった旧約時代の二〇〇〇年期間を、キリスト教信徒たちを中心として、天のものとして再蕩減復帰する時代であったので、この時代を「蕩減復帰摂理延長時代」という。
(ニ)イエスの再臨以後の復帰摂理完成時代は、サタンに奪われた復帰摂理の全路程を、天のものとして完全に蕩減復帰する時代であるので、この時代を「蕩減復帰摂理完成時代」という。(『原理講論』p284~5)
④メシヤのための基台の範囲から見た時代区分
(イ) アダムからアブラハムまでの二〇〇〇年期間は、献祭によってアブラハムの家庭一つを立てることにより、「メシヤのための家庭的基台」を造成した時代であったので、この時代を「メシヤのための家庭的基台摂理時代」という。
(ロ) アブラハムからイエスまでの二〇〇〇年期間は、旧約のみ言によってイスラエル民族を立てることにより、「メシヤのための民族的基台」を造成する時代であったので、この時代を「メシヤのための民族的基台摂理時代」という。
(ハ) イエスからその再臨期までの二〇〇〇年期間は、新約のみ言によって、キリスト教信徒たちを世界的に探し求めて立てることにより、「メシヤのための世界的基台」を造成する時代であったので、この時代を「メシヤのための世界的基台摂理時代」という。
(ニ) イエス再臨以後の復帰摂理完成時代は、成約のみ言によって、天宙的な摂理をすることにより、「メシヤのための天宙的基台」を完成しなければならない時代であるので、この時代を「メシヤのための天宙的基台摂理完成時代」という。(『原理講論』p285~6)
このように、今までの人類歴史は、「メシヤのための基台」を家庭から民族、世界、天宙へと、その範囲を広げてきた歴史としています。
そして、再臨のメシヤが降臨した以後の時代は、「メシヤのための天宙的基台」を完成しなければならない時代となります。
したがって、「成約時代の摂理的同時性」は、この「メシヤのための天宙的基台摂理完成時代」が具体的な現象としてどのように展開しているのかを明らかにしたものです。
(2)蕩減復帰摂理完成時代(成約時代)の選民
『原理講論』のp246に「神の創造がそうであるように、神の再創造摂理である救いの摂理も、一時に成し遂げるわけにはいかない。一から始まって、次第に、全体的に広められていくのである」とあります。
それでは、神様が「メシヤのための基台」を造成する摂理をどのように展開していかれるのか、『原理講論』から引用してみます。
このように神様は、多くの民族の中から一つの民族を選ばれ、その民族に「メシヤのための基台」を造成する路程を歩ませるのです。
したがって、「統一原理」の摂理的同時性は、その選ばれた民族の歴史を中心史料として構成されています。
それでは、蕩減復帰摂理時代(旧約時代)と蕩減復帰摂理延長時代(新約時代)の選民とはどの民族なのかを確認してみましょう。
【蕩減復帰摂理時代(旧約時代)】
ヤコブは、このような路程をたどって、カナンへ帰ってきたのち、初めて、「堕落性を脱ぐための蕩減条件」を立てたので、サタンを屈伏させる典型路程において成功したのである。この典型路程に従って、モーセも、イエスも歩まれ、イスラエル民族も、また行かなければならなかった。ゆえに、イスラエル民族史は、サタンを民族的に屈伏させてきた典型路程の史料となるのである。イスラエル民族史が、復帰摂理歴史の中心史料となる理由もここにあった。(『原理講論』p337)
【蕩減復帰摂理延長時代(新約時代)】
イエスから始まった復帰摂理延長時代の摂理をなしてきた中心民族は、イスラエル民族ではなく、彼らがなし得なかった復帰摂理を継承したキリスト教信徒たちであったのである。したがって、キリスト教史が、この時代の復帰摂理歴史の中心史料となるのである。このような意味において、旧約時代のアブラハムの血統的な子孫を第一イスラエルというならば、新約時代のキリスト教信徒たちは、第二イスラエルとなるのである。(『原理講論』p466-7)
このように、旧約時代の選民とは、割礼によって聖別されたイスラエル民族であり、新約時代の選民とは、洗礼と聖餐式によって霊的に重生したキリスト教信徒たちです。
では、「メシヤのための天宙的基台」を完成しなければならない蕩減復帰摂理完成時代(成約時代)の選民、つまり第三イスラエルとは誰なのでしょうか?
文鮮明先生は、第三イスラエルに関連して次のように語られています。
このことから、蕩減復帰摂理完成時代(成約時代)の選民とは、再臨のメシヤに従う聖徒たち(統一教会聖徒)を意味していることになります。
さらに、その統一教会聖徒たちの中でも、再臨のメシヤの祝福によって霊肉共に重生した祝福家庭たちが中心であり、彼らが歩んだ歴史が成約時代の中心史料となります。
(3)縦的に加重された摂理が横的に展開する成約時代
蕩減復帰原理には、復帰摂理の中心人物が立てる蕩減条件について次のような原則があります。
成約時代は、単純にそれまでの歴史を繰り返すのではなく、蕩減復帰摂理を完成する時代なので、旧約前、旧約、新約の縦的な蕩減条件を一時に横的に蕩減復帰する時代です。
そのため、次のような複数の重層的な摂理が同時進行していく時代となります。
1.再臨主(真の父)を中心とする全体摂理
2.新婦(真の母)を復帰して真の家庭を立てる摂理
3.選民を中心とする内的復帰摂理(宗教分野)
4.選民を中心とする外的復帰摂理(政治・経済分野)
新約時代の復帰摂理路程と成約時代の復帰摂理路程を比較したとき、最も大きな違いは、メシヤが天上にいらっしゃるか、地上にいらっしゃるかの違いです。
そのため、再臨主を中心とする全体摂理は、成約時代では実体路程として確認できますが、新約時代にはイエス様を中心として天上で摂理が展開され、史実として記録されていない可能性があります。
そこで、1の「再臨主(真の父)を中心とする全体摂理」に関しては、再臨主路程として、イエス様を中心とする第一次から第三次のカナン復帰路程と比較しながら、「成約時代の摂理的同時性」とは別に考察することにします。
そして、『原理講論』には、イエス様の再臨以後の成約時代について、次のように記述されています。
このように、成約時代は、妻の時代であり雌牛の時代となります。
また、「メシヤのための基台」を造成するには、以下のように母と子女によるサタン分立の条件がなければならないというのが原理です。
新約時代における母と子女とは、新婦圏を代表する法王が母の立場であり、その元にいる聖職者や信徒たちが子女の立場です。
成約時代では、真の母と真の子女を中心とする祝福家庭や統一教会聖徒たちが、それぞれ母と子女の立場になります。
以上のことから「成約時代の摂理的同時性」では、真の母を復帰する摂理と、子女である選民を中心とする内外の摂理的史実を中心に同時性を検証、解明しています。
特に『原理講論』に記載のある旧約・新約時代の史実と比較し、摂理的同時性の現象と判断される史実を重点的に選びました。
例えば、キリスト王国時代の3人の孫の対立と天宙平和統一王国時代の3人の真の子女様の対立です。
キリスト王国時代の完成期に王国が東西に分断されますが、これと摂理的同時性の現象が、天宙平和統一王国時代の「3人の真の子女様の対立」です。
これは、3男の顕進様、4男の国進様、7男の亨進様の間で起きたもので、国進様と亨進様は一つになっていたため、実際には顕進様と国進様・亨進様との対立でした。
(4)成約時代の摂理的転換点
成約時代の重要な摂理的転換点は、再臨主の降誕、真の父母様の顕現、「神様王権即位式」の宣布、そして文鮮明先生の聖和です。
「成約時代の摂理的同時性」は、これらの摂理的史実が各時代を分ける基点となって形成されています。
第2次世界大戦終了後、もし韓国のキリスト教が再臨主と一つになっていれば、このような「成約時代の摂理的同時性」は形成されていなかったでしょう。
再臨主が40歳をお迎えになる時までには、神様のみ旨が成就し、地上に神様を中心とする平和理想世界王国が創建されていたはずです。
このことは、以下に紹介する文鮮明先生のみ言で明確に確認することができます。
イエス様の体を失ってしまったので、霊界を代表するキリスト教を中心とした連合国が、第2次世界大戦を通して枢軸国と戦って勝つことによって、キリスト教文化圏が世界を統一するようになりました。
キリスト教が世界を統一することによって、霊肉が一つになることができる時代となり、怨讐の世界を完全に占領したので、連合国と枢軸国が天の側の世界に帰属することができました。
この基盤を中心として、旧教と新教が一つになった立場に立ち、キリスト教文化圏を代表して来られる再臨主を迎えていたならば、その時から統一天下の運勢を受け、1945年から3年半ないし7年、1952年には、統一天下を成し、その時に神様の即位式が終わっていたことでしょう。(『文鮮明先生御言選集』 342-267 2001.1.13)
第2次世界大戦以降にキリスト教文化圏が、神様を中心として文総裁と一つになっていれば、先生が40歳で天下統一を成し遂げていたのであり、韓国は世界の長子国家になっていたでしょう。(『文鮮明先生御言選集』 242-192 1993.1.1)
ところが、実際には、韓国のキリスト教が再臨主と一つになることができず、成約時代の天宙的カナン復帰路程は、次のように延長されてしまいました。
本来、予定されていた天宙的カナン復帰路程が延長され、世界が混沌とする大変動の時代を迎えたことは、次のみ言で確認することができます。
モーセが何歳でイスラエルの国を出発しましたか? 80歳です。80歳までにすべてを終えなければならないというのです。先生のみ言の中に出てくるでしょう? み言の中では、1920年、そして第2次世界大戦以降から2000年までに総蕩減しなければならないのです。その時が歴史的に最も複雑な時代です。(『文鮮明先生御言選集』 340-226 2000.12.27)
以上のように、再臨主を中心とする天宙的カナン復帰路程は、結果的に1960年3月16日(陰暦)の「聖婚式」、2001年1月13日の「神様王権即位式」へと延長され発展してきたのです。
(5)1000年(920~1920)を10年(2012.9~2022.8)で蕩減復帰
上述したように「成約時代の摂理的同時性」の摂理観では、「天の勝利圏とは蕩減期間の短縮である」としています。
具体的に言えば、天の勝利圏によって新約時代のキリスト王国時代から再臨主降臨までの1000年を、成約時代では2012年9月から2022年8月までの10年で蕩減復帰するようになったということです。
その天の勝利圏とは、文鮮明先生のアダムとしての勝利と、文鮮明先生を中心とする文亨進様(七男)と文国進様(四男)の真のアベル・カイン一体化の勝利を意味しています。
この勝利圏によって1000年の蕩減期間が10年にまで短縮されたので、今の1年は過去の歴史の100年分に相当することになります。
それを裏付けるように、世の中の変化と発展が目まぐるしく展開しています。
(6)蕩減復帰摂理完成時代(成約時代)の各時代の名称解説
【日帝及び基督教迫害時代】(1920年~1960年)
再臨主と彼に従う成約時代の聖徒たちが、日本帝国及びキリスト教から迫害を受けながら蕩減復帰路程を歩み、成約時代の選民である祝福家庭のための基台を造成する時代。
【氏族メシヤ家庭教会時代】(1960年~2001年)
再臨主が真の母を迎えて真の父母となり、その真の父母によって重生された祝福家庭たちが、各氏族のメシヤとして家庭教会を立て、神主権の王国を建設するための基台を造成する時代。
【天宙平和統一王国時代】(2001年~2013年⇒2012年9月)※陽暦以下同
真の父母を中心として、祝福家庭たちが成約時代の神主権の王国である「天宙平和統一国(天一国)」を創建する時代。
【天地王権分立時代】(2012年9月~2016年8月)
真の父に対する真の母の不信により、神中心の天の王権とサタン中心の地の王権に分かれ、祝福家庭たちがサタン主管下で苦役路程を歩む時代。
【真の母捕虜・帰還時代】(2016年9月~2018年8月)
新たに召命された真の母が、サタン主管下での捕虜の立場から真の父の権威圏に帰還し、完成期の聖婚祝福式が挙行される時代。
【三大王権完成準備時代】(2018年9月~2022年8月)
真の父の正統後継者を中心にアベル圏の祝福家庭たちが、過去の罪を悔い改め、成約時代の聖殿を再建しながら三大王権完成のための基台を造成する時代。
以上で「成約時代の摂理的同時性」の概要説明を終え、次からは、各論として、各時代の詳細を解説していきます。