【今回深掘りする原理のみ言】
人間が、根本的に、神を離れては生きられないようにつくられているとすれば、神に対する無知は、人生をどれだけ悲惨な道に追いやることになるであろうか。(『原理講論』p31)

 

「統一原理」を学ぶメリットは、まさにこの神様に対する無知を克服できるということになります。

神様が人間を創造されたとすれば、私たちは神様や霊界と無関係ではいられませんし、その影響は人生の幸不幸を決める大きな要因の一つです。

しかし、神様も霊界も目には見えないため、その存在についてさえ、信じる人もいれば信じない人もいます。

そこで今回は、「目に見えない霊的な現象に対する洞察力がつく」という観点から「統一原理」を学ぶと神様が分かる理由を解説します。

刑事裁判における証拠裁判主義

最初に私の個人的な経験を一つご紹介します。その経験とは、「裁判員裁判」です。

私は2017年10月に裁判員に選ばれ、10日間ほど東京地方裁判所に通いながら実際の刑事裁判に参加したことがあります。

判事の方たちの隣に座り、検事や弁護士が提出する証拠資料を見たり、証人や被告の証言を聞き、3人の判事を中心に8人の裁判員と議論するという貴重な体験をしました。

この体験から、証拠裁判主義や「疑わしきは罰せず」という刑事裁判における原則を学ぶことができました。

有罪か無罪かの判断は、罪を犯したという決定的な証拠に基づき、「これは間違いない」という裁判員全員の合意によって決まります。

禁固何年、罰金いくらなどの量刑については多数決で決めますが、罪の有無は証拠と証言に基づき裁判員全員の合意によって判断されます。

この証拠裁判主義が成立するのは、提出された証拠がうそ偽りない物であることや、証言が真実であることが確認できるからです。

証人は、証言の前に判事から偽証罪に問われることもあると伝えられ、裁判所に対して真実を語ることを誓ってから証言します。

判事の方もおっしゃっていましたが、実際に現場で起きた事実は現場にいた人しか分からないので、証拠と証言に基づいて判断するしかないわけです。

それでも、提出された証拠や証言により、一般常識的な判断からでもかなりのところまで事実を推測することができます。

※証拠裁判主義
裁判で事実の認定は証拠によって行わなければならないとする主義。

※「疑わしきは罰せず」
刑事裁判における原則で、確実に罪を犯したと断言できる人以外は罰してはいけないというもの。「推定無罪」とも言う。

物理的な証拠や人の証言にも限界がある

しかし、この物理的な証拠や人の証言にも、真実を知るということにおいては限界もあります。

例えば、過去の歴史を解明することなどは、限られた文献資料だけでその全貌を知ることはかなり困難です。

それは、歴史学の文献資料の中には、書かれた年代や書いた人、書かれた内容について本物だと断定できないものが少ながらずあるからです。

また、調査、研究が進むことで、あとから新しい資料がみつかるなどして、以前の解釈と変わるというケースも歴史学には多々ありますね。

私たちが学校で学ぶ日本史も、昔と今では違っているところがあります。例えば、鎌倉幕府の成立した年です。

以前は「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」と覚えていたのですが、今は「いい箱(1185)作ろう鎌倉幕府」なんだそうです。

また、「歴史は勝者がつくる」と言われるように、争いに勝った側に都合のよい歴史観が後世に教育されていくというのも、よくあることです。

こういったことから、物理的な証拠文献だけで歴史などの真実を知ることには限界があると言えるでしょう。

情報強者と情報弱者-情報リテラシーの格差問題

物理的な証拠や人の証言に限界があるのは歴史学の分野に限ったことではありません。

私たちの周囲から入ってくる情報、特に新聞やテレビなどのオールドメディアはもちろん、ネット上のニューメディアも同じことが言えます。

すでに多くの人たちが気付いていることですが、新聞やテレビの偏向報道は目に余るものがあります。

こういった情報をそのまま事実として信じてしまうと、真実を知らないまま誤った認識をもつことになります。

サタンは貧富の格差を生み出して神様に対する信仰を失わせるのですが、貧富の格差は技術力の格差から生まれ、技術力の格差は情報の格差から生まれます。

インターネットが登場する前はこの情報の格差が問題でした。しかし、今では巷に情報が溢れるようになり、今度は情報リテラシーの格差が生じるようになっています。

あまりに情報が多すぎるため、自分で考えて是非を判断するのが面倒になり、まとめサイトのようなものが流行りました。

そして、そのまとめサイトでも、掲載されている情報(特に健康関連の情報)の信憑性が指摘され問題になりましたね。

テレビでも、番組である食材が健康によいと紹介されると、翌日のスーパーでその食材がたちまち品切れになるという現象が頻繁に起きています。

試してみるのはありですが、その食材が本当に自分の健康増進にプラスになるかどうかは分かりませんし、もしかしたらその食材にアレルギーがあるかもしれません。

こういった私たちの日常生活でも、見聞きする情報だけを頼りにしていると、思わぬ不利益を被ることがあります。

ですから、情報量の多少よりも、その情報の背景や意味すること、正反対の情報との整合性などを考慮し、真実を見抜く力が大切です。

社会主義国ではなぜ「書記長」が最高権力者なのか?

民主主義国に生まれ住む私たちの感覚では、書記というのは、委員長、副委員長に次ぐナンバー3の立場ではないでしょうか。

しかし、かつてソビエト連邦では書記長が、中国や北朝鮮では総書記が最高権力者でした。

なぜなら、書記がどのような記録を書くかによって歴史が決まり、その主権者の正統性が決まるからです。

主権者の正統性や歴史の見方まで決定できるのですから、書記という立場は相当な権力をもっていることが分かります。

だからこそ、社会主義国家では、書記長というポストが最高権力者になるわけです。

もし後世の人たちが、恣意的に記録された文献資料だけを根拠に歴史を決めてしまうことになれば、事実とは異なる歴史観を持ってしまうことになりかねません。

真実を見抜く洞察力を養うには?

歴史学の例に見るように、物的な証拠や人の証言だけをもとに真実を知ることは、かなり難しいことが分かります。

それでは、どうすれば物的な証拠や人の証言の限界を越えて真実を知ることができるのでしょうか?

ここで一つ問題です。このサイコロの「1」の裏側はいくつか分かりますか?

もしあなたが即答できるとすれば、それはあなたがこの法則を知っているからですよね。

【サイコロの対面の和は7である】

この一つの法則さえ知って入れば、たとえ一面しか見えていなくても、見えない裏側の数字まで正確に見抜くことができるわけです。

さらにもう一つ問題です。今度は裏側ではなく、上下左右それぞれの側面の数字はいくつになるでしょうか?

この問題は、サイコロの一面が見えるだけでは答えが分かりませんので、もう一つ「方角」の情報を追加します。

もしあなたが以下の法則を知っていれば、サイコロの一面と方角の情報だけで、サイコロのすべての面を言い当てることができます。

【一天地六 東五西二 南三北四】
(いってんちろく とうごさいに なんざんほくし)

つまり、サイコロの面は北が四、南が三、東が五、西が二で構成されているということです。

ですから、一つの面と一つの方角が分かれば、見えていない他のすべての面の数字がすぐに分かるんですね。

このように、少ない情報でも、法則さえ知っていれば、その全体像を理解できる、つまり「一を聞いて十を知る」ことが可能になる、というわけです。

ですから、霊肉の世界全体を貫く普遍的な法則を知ることができれば、目に見えない霊的な事実まで見抜けるのです。

この霊肉の世界全体を貫く普遍的な法則こそ、まさに「統一原理」です。

「統一原理」を学ぶと霊的な事実に対する洞察力がつく

歴史が文献資料だけではその真実が分からないように、神様の摂理や天運の動き、善霊と悪霊の働きなど、目に見えない事実を知るのは、霊眼が開けた特別な人でなければ難しいことです。

しかし、「統一原理」を知ることによって、霊的な現象が見えない人でも、身の回りに起きる現象を見ることで、霊的な事実までも洞察できるようになります。

また、たとえ霊的なものが見える人でも、その人の心霊基準によって見えてくるものが違ってくるので、その善悪を見抜くことは大変困難です。

『原理講論』では、このことについて次のように説明しています。

堕落人間は、神もサタンも、共に対応することのできる中間位置にあるので、善神が活動する環境においても、悪神の業を兼ねて行うときがある。また悪神の業も、ある期間を経過すれば、善神の業を兼ねて行うときがときたまあるから、原理を知らない立場においては、これを見分けることは難しい。今日において多くの聖職者たちが、これに対する無知から、善神の働きまでも悪神のそれと見なし、神のみ旨に反する立場に立つようになるということは、実に寒心に堪えないことといわなければならない。(『原理講論』p120)

 

ですから、神様とサタンの中間位置にいる私たちは、「統一原理」を通してこの世界の普遍的な法則を知り、霊的な事実に対する洞察力を体得しなければなりません。

まとめると、「統一原理」とは、神様に対する無知を克服し、その心情と事情を私たちに教えてくれるものなのです。

 

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