ところが、サタンが人間を堕落させて、この三つの祝福を成就することができなかったために、神の創造目的は達成されなかったのである。
それに対してイエスは神が約束されたこの三つの祝福を復帰することによって、神の創造目的を成就するために来られたのであるから、サタンは祝福復帰への道をふさぐため、その三つの試練をもって、創造目的が達成できないように妨げようとしたのであった。(『原理講論』p411~12)
『イエス様の荒野での三大試練』シリーズのまとめとして、神様の定義と三大祝福、そして三大試練との関連性を整理しておきます。
結局のところ、サタンは私たちに三大祝福を実現させないために、それとは反対の方向に誘導しようとしてきます。
その試練を見事に退けられたのがイエス様ですから、その内容を詳細に知ることは、私たちにとって生きた教訓となるはずです。
神様の定義と三大祝福
『原理講論』の創造原理では、神様の定義について以下のように記述されています。
この神様の定義は、それぞれ三大祝福の生育せよ、繁殖せよ、万物世界を主管せよに対応しています。
本性相と本形状の二性性相の中和的主体 ⇒第一祝福:個性完成
本性相的男性と本形状的女性との二性性相の中和的主体 ⇒第二祝福:子女繁殖
被造世界に対しては、性相的な男性格主体 ⇒第三祝福:万物主管
ですから、言い換えると、アダムとエバにくださった神様の祝福は、「私のようになりなさい」ということなんですね。
そのため、イエス様も「それだから、あなたがたの天の父が完全であられるように、あなたがたも完全な者となりなさい」(マタイ福音書五章48節)と言われました。
このイエス様のみ言について、『原理講論』では次のように説明しています。
三大祝福を実現することによって、私たちは神様に似るものになって名実ともに神の子になるということですね。
復帰摂理歴史に見る三大祝福の条件的復帰
堕落によって三大祝福が実現できなかったので、復帰摂理においては、中心人物が三大祝福を象徴的に復帰した条件を立てなければ、信仰基台や実体基台を造成することができませんでした。
復帰摂理歴史で展開された三大祝福の条件的復帰の例を確認してみましょう。
ノア家庭における三大祝福の条件的復帰
ノア家庭では、ノア自身が個性完成、ノアの8人家族が子女繁殖、動物が万物主管の型を形成しています。
アブラハム家庭における三大祝福の条件的復帰-象徴献祭の前
アブラハムが象徴献祭をする前の路程では、アブラハム自身が個性完成、アブラハムの妻サライと甥のロトが子女繁殖、多くの財物が万物主管の型を形成しています。
アブラハム家庭における三大祝福の条件的復帰-イサク献祭の前
アブラハムがイサク献祭をする前の路程では、アブラハム自身が個性完成、アブラハムの妻サラと男女の奴隷が子女繁殖、多くの財物が万物主管の型を形成しています。
ヤコブ路程における三大祝福の条件的復帰
ヤコブの路程では、長子の嗣業復帰が個性完成、ハラン苦役21年路程での家庭復帰が子女繁殖、天使との組み打ち勝利による主管性復帰が万物主管の型を形成しています。
モーセの出エジプトにおける三大祝福の条件的復帰
モーセも、エジプトからイスラエル民族を率いて民族的カナン復帰路程を出発するとき、サタン分立の三日期間を過ぎたのちに、紅海に向かって出発した(出エ八・27~29)。(『原理講論』p327~28)
モーセはまた、エジプトから多くの財物を取って出発したのであるが(出エ一二・35、36)、これも、将来にあるはずのイエスの万物復帰を、前もって表示されたのであった。(『原理講論』p366)
モーセの出エジプト路程においては、モーセ自身が個性完成、イスラエル民族が子女繁殖、多くの財物が万物主管の型を形成しています。
イエス様の三大試練と三大祝福
イエス様が受けられた荒野での三大試練も、同じように三大祝福を復帰する基台造成のための条件になっています。
イエスがこの最初の試練に勝利して、個性を復帰することができる条件を立てられることによって、神の第一祝福の復帰の基台をつくられたのである。(『原理講論』p414)
第二の試練に勝利することによって、本神殿であり、新郎であり、また人類の真の親として来られたイエスは、すべての信徒たちを、分神殿と新婦、そして子女の立場に、復帰することができる条件を立てて、神の第二祝福の復帰の基台を造成されたのであった。(『原理講論』p415)
イエスは第三の試練にも勝利され、被造世界に対する主管性を復帰し得る条件を立てることによって、神の第三祝福に対する復帰の基台を造成されたのであった。(『原理講論』p416)
以上のように、イエス様は三大試練に勝利することによって、三大祝福復帰の基台を造成されました。
イエス様がどのように勝利されたのか、三大試練の詳細については、以下の各記事を参考になさってください。
■イエス様の荒野での三大試練③第一試練「石をパンにかえよ」の意味
■イエス様の荒野での三大試練④サタンはいつ試練してくるのか?
イエス様の三大試練に関する文鮮明先生のみ言①
文鮮明先生のみ言に、イエス様の三大試練について解説されたものがありますので、そのみ言を紹介します。
その時まで人間は、物質を中心とする闘争歴史を経てきたのですが、イエス様が、サタンの第1次的な試練に勝利することによって、そのような物質を中心とする闘争歴史を終結させるようになったことを、皆さんは知らなければなりません。
それでは、その次にイエス様は、どのような試練を受けるようになったのでしょうか。イエス様は、サタンに引かれて教会の聖殿の頂上に立たされるようになったのですが、そこで「もしあなたが神の子であるなら、下へ飛びおりてごらんなさい」(マタイによる福音書4章6節)という試練を受けるようになりました。
イスラエル民族とユダヤ教を指導できる宗教理念をもって現れたイエス様にとって、「飛びおりなさい」というこの言葉はどのような意味があるのでしょうか? それは、ユダヤ教的な習慣と彼らの主張に屈服し、彼らの指導者の立場を放棄しなさいということです。しかし、イエス様は、ここでサタンの試練に陥ることなく勝利されました。
その次にはどのような試練がありましたか? サタンは、イエス様を高い山頂に連れていき、天下万国とその栄光を見せてあげながら、「もしあなたが、ひれ伏してわたしを拝むなら、これらのものを皆あなたにあげましょう」(マタイによる福音書4章9節)と言ったのです。しかし、イエス様はここで、宇宙的な理念をもって神様の国、すなわち天国を建設しようとされる神様のみ旨を立ててさしあげるために、そのようなサタンの要求を一蹴してしまわれたのです。(『文鮮明先生御言選集』3-121 1957・10・13)
イエス様の三大試練に関する文鮮明先生のみ言②
このみ言のあと、さらに文鮮明先生は今の私たちにとって教訓となる内容のみ言を語ってくださっているので、それも紹介します。
ですから、終末を迎えた今日の皆さんにも、物質的な条件を中心とする闘争が起きるようになるのです。ところが今日、すべての人間が、そのような物質的な闘争で勝利することができずに敗北すれば、この地は、自然に暗黒の世界に変わるでしょう。ですから、今日の皆さんは、そのような物質的な闘争を踏み越え、イエス様の天国の理念に従っていかなければならず、さらには、全世界のキリスト教徒と力を合わせ、神様の国をこの地上に建設しなければならないのです。
そして、皆さんは、昔イエス様が、サタンのすべての試練を退けて勝利されたように、皆さんもそのような過程を経なければならないことを知らなければなりません。ですから、終末になれば、物質的な闘争の過程を越えなければならず、その次には、宗教的な闘争の過程を越えなければならないのです。ここで分裂と矛盾、闘争を解決し、これを統括する宗教が出現するというのです。このような時代を象徴したものがイエス様の受けられた試練でした。
イエス様がどのような逆境の場でも、死の境地でも、変わらずにご自分の姿を表されたのと同じように、皆さんもイエス様のそのような人格に似なければなりません。また、終末にいる今日のクリスチャンたちは、イエス様の世界的な聖殿理念を探したててさしあげるためには、過去に喜んだいかなるものに対しても執着してはいけません。
また皆さんは、歴史的な使命をもってこの地に来られて、歩まれたイエス様のその生涯路程に符合する路程に立てられたので、皆さんの前には、歴史的な闘いの一時が横たわっていることを知らなければなりません。(『文鮮明先生御言選集』3-123 1957・10・13)