【成約時代の摂理的同時性の原理的根拠】
 イエス再臨以後の復帰摂理完成時代は、成約のみ言によって、天宙的な摂理をすることにより、「メシヤのための天宙的基台」を完成しなければならない時代であるので、この時代を「メシヤのための天宙的基台摂理完成時代」という。(『原理講論』p286)

 

 上記のみ言のように、再臨のメシヤが降臨されてからの時代は、「メシヤのための天宙的基台」を完成しなければならない時代です。この時代を「成約時代の摂理的同時性」として解明していきます。

 「摂理的同時性」とは、神様の蕩減復帰摂理に起因して、ある時代がその前の時代の歴史路程とほとんど同じ様相をもって反復されることを意味します。

 成約時代の再臨主を中心とする天宙的カナン復帰路程においても、それまでの旧約時代、新約時代と同じ様相で反復する歴史路程が展開していることを示したものが「成約時代の摂理的同時性」です。

 第1章では、まず「成約時代の摂理的同時性」の総論として、その概要について解説します。

第1節 摂理的同時性が形成される理由とその要因

(1)摂理的同時性が形成される理由

 神様の復帰摂理歴史で摂理的同時性が形成される理由について、『原理講論』の436ページに「『メシヤのための基台』を復帰しようとする摂理が反復されるからである」と説明されています。

 「メシヤのための基台」は、「信仰基台」と「実体基台」を造成したアベル・カイン一体化の基台の上で造成されるものです。

 もし一度造成された「メシヤのための基台」が人間の責任分担不履行によってサタンに奪われた場合、その基台を取り戻すため、再び「信仰基台」を立てて「実体基台」を造成するアベル・カイン一体化の路程が展開することになります。

 再臨主を中心とする摂理においても、韓国のキリスト教が再臨主である文鮮明先生を受け入れなかったことにより「再臨のメシヤのための基台」がサタンに奪われました。

 そのため、文鮮明先生は、自ら荒野路程を出発し、キリスト教に代わるアベル的教団として「世界基督教統一神霊協会」を設立(1954年5月1日)して「再臨のメシヤのための基台」を取り戻す路程を歩まれました。

 そして、「八定式」(1989年8月31日)などを経て長子権を復帰し、「再臨のメシヤのための基台」を取り戻した上で、1992年8月24日、世界的次元で「再臨主・救世主・真の父母」宣布をされました。

 このように、モーセ路程(民族的カナン復帰路程)やイエス路程(世界的カナン復帰路程)において、第1次から第3次まで摂理が延長したように、天宙的カナン復帰路程である再臨主の路程も、人間の責任分担不履行によって「メシヤのための基台」を失ってしまったために摂理が延長しました。

 あらゆる法則の主人でいらっしゃる神様が何の計画もなく無秩序に歴史を摂理されるはずはないため(『原理講論』p35参照)、縦的(歴史的)に復帰してきた「メシヤのための基台」を横的に復帰するときも、何らかの摂理的同時性が形成されると考えることができます。

(2)摂理的同時性が形成される要因

 摂理的同時性が形成されるとき、そこには二つの要因があります。一つは摂理的蕩減期間の代数や年数によって示される数理的な要因、もう一つは「信仰基台」と「実体基台」を復帰しようとする人間の責任分担による要因です。該当する箇所を『原理講論』から引用します。

 同時性の時代を形成する原因は、第一に、「信仰基台」を復帰するための三つの条件、すなわち、中心人物と、条件物と、数理的な期間などである。第二は、「実体基台」を復帰するための「堕落性を脱ぐための蕩減条件」である。
 このような要因でつくられる摂理的同時性の時代には、次のような二つの性格がある。第一には、「信仰基台」を復帰するための数理的蕩減期間である代数とか、あるいは、年数を要因とする摂理的同時性が形成されるのである。(中略)
 第二には、「信仰基台」を復帰する中心人物と、その条件物、そして「実体基台」を復帰するための「堕落性を脱ぐための蕩減条件」などの摂理的な史実を要因として、同時性が形成されるのである。(『原理講論』 p436)

 

 「成約時代の摂理的同時性」では、縦的に復帰してきた「メシヤのための基台」を再び横的に復帰するとき、縦的な復帰路程で展開した数理的な要因と人間の責任分担(「信仰基台」と「実体基台」)による要因が同じように展開すると考えます。

 つまり、400年(40数)、400年(40数)、120年(12数)、400年(40数)、210年(21数)、400年(40数)と縦的に延長してきた数理性の原則が、横的な復帰路程にもそのまま適用され、それぞれの歴史時代において展開した人間の責任分担による摂理的な史実が、横的な復帰路程でも同じように反復されると見るわけです。

 それでは、復帰摂理が延長するときの原則について確認してみましょう。

第2節 復帰摂理が延長するときの原則

(1)復帰摂理延長の三段階原則

 
 「統一原理」の予定論によれば、神様が一度立てられたみ旨は絶対的なものとして予定され、必ず成就されます。
 

 「統一原理」の予定論によれば、神様が一度立てられたみ旨は絶対的なものとして予定され必ず成就します。しかし、ある人物を中心とする摂理の成就は、その人物が責任分担を完遂するかどうかにかかっているため相対的です。

 もしその人物が責任分担を完遂できなければ、他の人物を立ててでもみ旨を成就しなければならないため摂理が延長します。そのときに際限なく延長するのではなく、そこには次のような原則があります。

 
 我々は、復帰摂理がどのようにして延長されるかを知らなければならない。創造原理によれば、神は3数的存在であられるので、神に似たすべての被造物は、その存在様相や、運動や、またその成長過程など、すべてが3数過程を通じて現れる。ゆえに、四位基台を造成し、円形運動をして創造目的を成し遂げるに当たっても、正分合の3段階の作用により、三対象目的を達成して3点を通過しなければならないのである。ところが創造目的を復帰していく摂理は、み言による再創造の摂理であるので、この復帰摂理が延長されるときにも、創造原理により、3段階までは延長され得るのである。(『原理講論』p439)
 
 
  このように、復帰摂理が延長されるときには、創造原理によって3段階までは延長され得るのです。
 
 例えば、「メシヤのための家庭的基台」を復帰する旧約前の時代では、アダム家庭、ノア家庭、アブラハム家庭の3次に渡って復帰摂理が延長しました。
 

(2)蕩減期間の十段階原則

 
 40数を蕩減復帰する摂理が延長するときの原則について、『原理講論』では次のように説明されています。
 
 40数を蕩減復帰する摂理が延長されるときには、それが10段階原則による蕩減期間を通過しなければならないので、40数は10倍数による倍加原則に従って、400数、または、4000数に延長されるのである。この原則に相当する例を挙げれば、ノアからアブラハムまでの400年、エジプト苦役400年、アダムからイエスまでの4000年などがそれである。(『原理講論』p448)
 
 

 ある人物を中心とする一つの復帰摂理が失敗すると、倍加原則によって蕩減期間が10倍になります。反対に勝利した場合はこの蕩減期間が短縮されます。

 この天の側の勝利によって蕩減期間が短縮されることについて、文鮮明先生のみ言がありますので紹介します。

 
 神様は、7000年の歴史を中心として歩まれてきましたが、すべての宗教は700年を歩んでいきます。700年の運勢が時を迎えれば、それが3段階に展開されて2000年の運勢を中心として歩んでいくので、旧約の歴史も2000年です。2000年の歴史が続いてきたのです。それは、必ず一段階ごとに新しく入れ替わります。
 このように、神様を中心として見てみるときは、7000年の恨の道を歩まれたのであり、宗教は700年の歴史を中心として歩みます。したがって、キリスト教が勝利していれば、イエス様の再臨も、最初の700年の期間に成し遂げられていたでしょう。それができなかったので、イスラームのシーア派のように、異邦民族の宗教が再臨思想をもって出てきたのです。 このように宗教は700年の運勢を中心として歩むのですが、召命された預言者たちは、個人的に70年の運勢をもって歩みます。したがって、神様は7000年の恨の道を行かなければならないのであり、宗教は700年の恨の道を行かなければならないのであり、人間は70年の恨の人生の道を行かなければなりません。(中略)
 70年の運勢を経て成し遂げた基盤の上に、主が来られるようになっています。それでは、主が来られて何をするのでしょうか。この地に来て、70年の運勢を7年に短縮するのです。ですから、7000年の恨の道が、宗教が出てくることによって700年に短縮され、700年の運勢が70年に短縮され、70年の運勢が、希望の一時が訪れることによって7年に短縮されるというのです。(『文鮮明先生御言選集』20-329 1968.7.14)
 
 

 このように、天の側の中心人物が勝利することによって、蕩減期間が10分の1に短縮され得るのです。特に終末期にこのような蕩減期間が短縮されることがマタイによる福音書にも記されています。

 その時には、世の初めから現在に至るまで、かつてなく今後もないような大きな患難が起るからである。もしその期間が縮められないなら、救われる者はひとりもないであろう。しかし、選民のためには、その期間が縮められるであろう。(マタイ福音書24章21~22節)

 

 次に、復帰摂理路程を歩む私たちにとって、このような蕩減期間の短縮がどのような時代的恵沢になるのかを考えてみましょう。

 

第3節 蕩減期間の短縮による時代的恵沢

(1)蕩減期間の短縮に関するみ言

 まず蕩減期間の短縮について文鮮明先生が語られた、上記以外のみ言を見てみましょう。
 
 祭物を捧げるためには、必ず条件的な期間があります。そして、中心人物、選ばれた人物がいなければなりません。その次に、一定の期間内に捧げられなければ、祭物になることができません。一日遅れても、祭物になりえないのです。期間を短縮するのはよいのですが、延長するのはいけません。短縮するのは完成の基準ですが、延長するのは未完成の基準なので、許されないのです。延長は許されません。延長すれば、すべてのものがサタンのものになるのです。しかし、短縮すればサタンが讒訴できません。(『文鮮明先生御言選集』229-18 1992.4.9)
 
 天国に行くことは、神様にとっても大変な問題です。それでこの道を短縮しようとして、ここにメシヤや、ある特定の民族、特定の個人にこの道の責任をもたせて、犠牲にしながらすべてを埋めてきたのです。ここから、これを埋める仕事のすべてをしてきたのです。ですから、多くの聖人たちが現れては死をもって埋めていきました。多くの国が栄えては滅びたのも、谷を埋めるためだったのです。(『文鮮明先生御言選集』72-249 1974.6.30)
 
 

 このみ言を見ると、蕩減期間を短縮することはサタンも讒訴できません。ただし、そのためには、神様が立てられた中心人物や中心民族の犠牲という条件が必要であることが分かります。

 血と汗と涙の路程を歩まれた文鮮明先生の天宙的な勝利圏により、蕩減期間が10分の1に短縮されたことは、私たち成約聖徒にとってどれほど絶大な時代的恵沢かわかりません。

 なぜなら、もし40年や21年という蕩減期間が必要だとすれば、私たちはこの蕩減期間を満たすだけで残りの人生を終えてしまい、次の世代にみ旨成就の願いを託していかなければならないからです。

 しかし、4年もしくは2年で蕩減期間を終えることができるとすれば、その上でより大きな勝利圏を立て、天的な基台と基盤を次の世代に渡すことができます。これは、私たちはもちろん、未来の世代の人たちにとってもとても大きな時代的恵沢です。

(2)旧約前時代の時代的恵沢

 予定論によれば、神はある摂理のために予定された人物が、彼の責任分担を果たさなかったときには、その張本人を再び立てて、摂理なさることはできない。(『原理講論』p325)

 このように、本来であれば、一度失敗した人物を再び立てて摂理することはできないのが原理です。

 しかし、アブラハムは、象徴献祭に失敗したのち、再び立てられてイサク献祭に成功しました。なぜ一度失敗したアブラハムを再び立てて摂理できたのかというと、次のような原理的条件があったからです。

①アブラハム家庭の摂理は、アダム家庭、ノア家庭に続く3次目であり、摂理を完成すべき原理的な条件があった。

②サタンがアダムとカインの2代を奪ったため、神側にもアブラハムとその子によって復帰できる条件があった。

③アブラハムには、アベルやノアが「象徴献祭」に成功した歴史的な心情の基台の上に立っているという条件があった。(『原理講論』p325~6より)

 このような原理的条件により、アブラハム家庭を中心とする復帰摂理は、アブラハムからイサク、ヤコブへと3代にわたって延長して「メシヤのための家庭的基台」を造成することができました。

 そして、復帰摂理の観点から見たとき、アブラハムとイサクとヤコブは一体と見なされ、ヤコブの勝利はすなわちアブラハムの勝利となります。

 アブラハム、イサク、ヤコブは、み旨を中心とした側面においては、アブラハム一人のように見なければならない。したがって、そのみ旨は、アブラハム一代において成就されたと同じ立場であったのである。出エジプト記三章6節に、神が「アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である」と言われたのは、このような観点から、彼ら三代は一体であるという事実を立証されたといえるのである。(『原理講論』p442)

 

 アダム、ノア、アブラハムと歴史的、すなわち縦的に延長してきた「メシヤのための基台」を復帰する摂理が、アブラハムを中心とするイサク、ヤコブの3代に横的に展開して成就されたのです。

 このような旧約前時代の勝利圏を時代的恵沢として、その後の旧約時代のモーセ路程、新約時代のイエス路程では、それぞれモーセとイエス様という一人の人物を中心として、3次まで摂理を延長できるようになりました。

旧約前時代:神様を中心とするアダム家庭・ノア家庭・アブラハム家庭
 ⇒アブラハム・イサク・ヤコブの3代圏(=アブラハム一人)が勝利

旧約時代:モーセを中心とする第1~3次民族的カナン復帰路程

新約時代:イエスを中心とする第1~3次世界的カナン復帰路程

 旧約前の時代は、一度の失敗によってその時代の摂理が終わってしまったのですが、アブラハム家庭の勝利圏によって、旧約時代になると、3次(あるいは3代)まで摂理が延長できるようになりました。これが旧約前時代の時代的恵沢です。

(3)旧約時代の時代的恵沢

 イエス様が霊的な勝利圏のみを立てられたため、再臨主の時代まで摂理が延長するようになり、新約時代は旧約時代と同年数の数理的蕩減期間で展開する時代になりました。

 イエス様の降臨はアダムから4000年後ですが、その再臨は2000年後です。アダムから4000年後というのは摂理的な年数ですから、実際には数万年以上と考えられるので、再臨までの2000年というのは、10分の1以下の期間に短縮されたと言えます。

 ですから、イエス様から再臨主降臨までの期間は、旧約時代とイエス様の霊的な勝利圏による時代的恵沢によって、アダムからイエス様降臨までの期間よりも短縮されました。これが新約時代の時代的恵沢です。

 それでは、次に「成約時代の摂理的同時性」の全体図について説明します。

 

第4節 「成約時代の摂理的同時性」全体図の概要

(1)メシヤのための基台の範囲から見た時代区分

 「統一原理」では、アダムから現在までの人類歴史全体を、「信仰の期間を蕩減復帰する摂理」と「メシヤのための基台の範囲」の観点から次のように区分しています。

③信仰の期間を蕩減復帰する摂理から見た時代区分

(イ)アダムからアブラハムまでの二〇〇〇年期間は、サタンに奪われたこの期間を、アブラハム一人を立てることによって、天のものとして蕩減復帰し得る、旧約時代のための基台をつくった時代であったので、この時代を「蕩減復帰基台摂理時代」という。

(ロ)アブラハムからイエスまでの二〇〇〇年期間は、アブラハムの献祭の失敗によって、サタンに奪われたアダムからの二〇〇〇年期間を、イスラエル民族を中心として、再び天のものとして蕩減復帰する時代であったので、この時代を「蕩減復帰摂理時代」という。

(ハ)イエスからその再臨期までの二〇〇〇年期間は、イエスが十字架で亡くなられることによって、サタンに奪われるようになった旧約時代の二〇〇〇年期間を、キリスト教信徒たちを中心として、天のものとして再蕩減復帰する時代であったので、この時代を「蕩減復帰摂理延長時代」という。

(ニ)イエスの再臨以後の復帰摂理完成時代は、サタンに奪われた復帰摂理の全路程を、天のものとして完全に蕩減復帰する時代であるので、この時代を「蕩減復帰摂理完成時代」という。(『原理講論』p284~5)

 

④メシヤのための基台の範囲から見た時代区分

(イ) アダムからアブラハムまでの二〇〇〇年期間は、献祭によってアブラハムの家庭一つを立てることにより、「メシヤのための家庭的基台」を造成した時代であったので、この時代を「メシヤのための家庭的基台摂理時代」という。

(ロ) アブラハムからイエスまでの二〇〇〇年期間は、旧約のみ言によってイスラエル民族を立てることにより、「メシヤのための民族的基台」を造成する時代であったので、この時代を「メシヤのための民族的基台摂理時代」という。

(ハ) イエスからその再臨期までの二〇〇〇年期間は、新約のみ言によって、キリスト教信徒たちを世界的に探し求めて立てることにより、「メシヤのための世界的基台」を造成する時代であったので、この時代を「メシヤのための世界的基台摂理時代」という。

(ニ) イエス再臨以後の復帰摂理完成時代は、成約のみ言によって、天宙的な摂理をすることにより、「メシヤのための天宙的基台」を完成しなければならない時代であるので、この時代を「メシヤのための天宙的基台摂理完成時代」という。(『原理講論』p285~6)

 

 このように、今までの人類歴史は、「メシヤのための基台」を家庭から民族、世界、天宙へと、その範囲を広げて造成してきた歴史としています。「成約時代の摂理的同時性」は、再臨のメシヤの降臨(1920年)を起点として、「メシヤのための天宙的基台」を完成する時代がどのように展開してきたかを明らかにしたものです。

 

 上述したように、三段階に延長してみ旨を成就するという原則は、再臨主を中心とする復帰摂理でも同じように適用されます。したがって、再臨の再臨、すなわち再々臨主降臨の摂理はあり得ず、再臨主を中心とする成約時代において、神様のみ旨が必ず成就するようになっています。

 上の図では、「成約時代の摂理的同時性」が4本目のラインとして表示されていますが、これは再臨主を中心として横的に展開する天宙的カナン復帰路程を意味し、アブラハム家庭において、イサク、ヤコブと三代に渡って摂理が展開したように、再臨主から三代に渡る天宙的カナン復帰路程を通して神様のみ旨が成就していくことを表しています。

(2)蕩減復帰摂理完成時代(成約時代)の選民

 『原理講論』のp246に「神の創造がそうであるように、神の再創造摂理である救いの摂理も、一時に成し遂げるわけにはいかない。一から始まって、次第に、全体的に広められていくのである」とあります。

 それでは、神様が「メシヤのための基台」を造成する摂理をどのように展開していかれるのか、『原理講論』から引用してみます。

 人類歴史は、数多くの民族史を連結するというかたちで発展してきた。ところで、神は、その中で、ある民族を特別に選ばれて、「メシヤのための基台」を造成する典型的な復帰摂理路程を歩ましめることによって、その民族が天倫の中心となり、人類歴史を指導し得るように導いてこられたのである。このような使命のために選ばれた民族を選民という。(『原理講論』p466)

 

 このように神様は、多くの民族の中から一つの民族を選ばれ、その民族に「メシヤのための基台」を造成する路程を歩ませるのです。

 したがって、「統一原理」の摂理的同時性は、その選ばれた民族の歴史を中心史料として構成されています。

 それでは、蕩減復帰摂理時代(旧約時代)と蕩減復帰摂理延長時代(新約時代)の選民とはどの民族なのかを確認してみましょう。

【蕩減復帰摂理時代(旧約時代)】

 ヤコブは、このような路程をたどって、カナンへ帰ってきたのち、初めて、「堕落性を脱ぐための蕩減条件」を立てたので、サタンを屈伏させる典型路程において成功したのである。この典型路程に従って、モーセも、イエスも歩まれ、イスラエル民族も、また行かなければならなかった。ゆえに、イスラエル民族史は、サタンを民族的に屈伏させてきた典型路程の史料となるのである。イスラエル民族史が、復帰摂理歴史の中心史料となる理由もここにあった。(『原理講論』p337)

【蕩減復帰摂理延長時代(新約時代)】

 イエスから始まった復帰摂理延長時代の摂理をなしてきた中心民族は、イスラエル民族ではなく、彼らがなし得なかった復帰摂理を継承したキリスト教信徒たちであったのである。したがって、キリスト教史が、この時代の復帰摂理歴史の中心史料となるのである。このような意味において、旧約時代のアブラハムの血統的な子孫を第一イスラエルというならば、新約時代のキリスト教信徒たちは、第二イスラエルとなるのである。(『原理講論』p466-7)

 

 このように、旧約時代の選民とは、割礼によって聖別されたイスラエル民族であり、新約時代の選民とは、洗礼と聖餐式によって霊的に重生したキリスト教信徒たちです。

 では、「メシヤのための天宙的基台」を完成しなければならない蕩減復帰摂理完成時代(成約時代)の選民、つまり第三イスラエルとは誰なのでしょうか?

 文鮮明先生は、第三イスラエルに関連して次のように語られています。

 今日、歴史的路程において、最も重要なこととは何かというと、選民圏が生じたということです。この時代になり、世界的途上において、蘇生、長成、完成の三段階基盤と連結させようというのです。イスラエル民族は蘇生級、キリスト教は長成級、そして統一教会は完成級です。イスラエル圏を中心としたものが旧約時代ならば、キリスト教は新約時代であり、統一教会は成約時代です。(『文鮮明先生御言選集』226-276 1992.2.9)

 

このことから、蕩減復帰摂理完成時代(成約時代)の選民とは、再臨のメシヤに従う聖徒たち(統一教会聖徒)を意味していることになります。

さらに、その統一教会聖徒たちの中でも、再臨のメシヤの祝福によって霊肉共に重生した祝福家庭たちが中心であり、彼らが歩んだ歴史が成約時代の中心史料となります。

(3)真の母と真の子女と成約聖徒たちを中心とする摂理

 『原理講論』には、イエス様の再臨以後の成約時代について、次のように記述されています。

 イエスは、全人類の新郎として来られたので、彼が再臨なさるまでの信徒たちは、来られる新郎の前に新婦とならなければならない。しかし、新婦なる信徒たちが再臨される新郎イエスと小羊の宴を終えたのちには、新婦ではなく妻となり、夫であるイエスと共に、天国生活をするようになるのである。それゆえに、イエス再臨以後の完成成約時代は、妻の時代、すなわち、雌牛の時代であることを知らなければならない。(『原理講論』p320)

 

 このように、成約時代は、妻の時代であり雌牛の時代となります。また、「メシヤのための基台」を造成するには、以下のように母と子女によるサタン分立の条件がなければならないというのが原理です。

 エバの犯罪が罪の根をつくり、その息子カインがアベルを殺すことによって、その実を結ぶようになった。このように、母と子によってサタンが侵入し、罪の実を結んだのであるから、蕩減復帰の原則によって、母と子が、サタンを分立しなければならないのである。(『原理講論』p347)

 

 新約時代における母と子女とは、新婦圏を代表する法王が母の立場であり、その元にいる聖職者や信徒たちが子女の立場です。

 成約時代では、真の母と真の子女を中心とする祝福家庭や統一教会聖徒たちが、それぞれ母と子女の立場になります。

 以上のことから「成約時代の摂理的同時性」では、真の母と真の子女と成約聖徒たちを中心とする摂理的史実を中心として、どのように「メシヤのための基台」を造成してきたかを解明します。

(4)成約時代の摂理的転換点

 成約時代の重要な摂理的転換点は、再臨主の降臨(1920年)、真の父母様の顕現(1960年)、「神様王権即位式」の宣布(2001 年)、そして文鮮明先生の聖和(2012年)です。

 「成約時代の摂理的同時性」は、これらの摂理的史実を起点として各時代を分けています。

 第2次世界大戦終了後、もし韓国のキリスト教が再臨主と一つになっていれば、再臨主を中心とする天宙的カナン復帰路程が延長することはなく、「成約時代の摂理的同時性」も形成されていなかったでしょう。

 再臨主が40歳をお迎えになる時までには、神様のみ旨が成就し、地上に神様を中心とする平和理想世界王国が創建されていたはずです。

 

 このことは、以下に紹介する文鮮明先生のみ言で明確に確認することができます。

 父母様がこの地上に来て、1960年度を中心として「聖婚式」をしたという事実は、驚くべきことです。本来、この「聖婚式」は、キリスト教が先生を受け入れていれば、1945年にこれが始まるのです。それから7年だけすぎれば、この地上にアダム圏内で失敗したすべてのものが復帰されるのです。(『文鮮明先生御言選集』 272-288 1995.10.13)

 イエス様の体を失ってしまったので、霊界を代表するキリスト教を中心とした連合国が、第2次世界大戦を通して枢軸国と戦って勝つことによって、キリスト教文化圏が世界を統一するようになりました。
 キリスト教が世界を統一することによって、霊肉が一つになることができる時代となり、怨讐の世界を完全に占領したので、連合国と枢軸国が天の側の世界に帰属することができました。
 この基盤を中心として、旧教と新教が一つになった立場に立ち、キリスト教文化圏を代表して来られる再臨主を迎えていたならば、その時から統一天下の運勢を受け、1945年から3年半ないし7年、1952年には、統一天下を成し、その時に神様の即位式が終わっていたことでしょう。(『文鮮明先生御言選集』 342-267 2001.1.13)

 第2次世界大戦以降にキリスト教文化圏が、神様を中心として文総裁と一つになっていれば、先生が40歳で天下統一を成し遂げていたのであり、韓国は世界の長子国家になっていたでしょう。(『文鮮明先生御言選集』 242-192 1993.1.1)

 

 しかし、実際には、韓国のキリスト教が再臨主と一つになることができず、天宙的カナン復帰路程は次のように延長されてしまいました。

 

 本来、予定されていた天宙的カナン復帰路程が延長され、世界が混沌とする大変動の時代を迎えたことは、次のみ言で確認することができます。

 今は世界的な混乱期です。先生の年齢を中心として、1920年代以降から今までは歴史的大変動の時期です。世界の歴史学者たちのほとんどが、「1960年度を中心として、大変遷、急変する歴史時代に転換した」と言うのですが、それはなぜそのようになるのかというのです。それが統一教会を中心として変わっていくとは夢にも思っていません。(『文鮮明先生御言選集』 115-282 1981.11.22)

 モーセが何歳でイスラエルの国を出発しましたか? 80歳です。80歳までにすべてを終えなければならないというのです。先生のみ言の中に出てくるでしょう? み言の中では、1920年、そして第2次世界大戦以降から2000年までに総蕩減しなければならないのです。その時が歴史的に最も複雑な時代です。(『文鮮明先生御言選集』 340-226 2000.12.27)

 

 以上のように、再臨主を中心とする天宙的カナン復帰路程は、結果的に1960年3月16日(陰暦)の「聖婚式」、2001年1月13日の「神様王権即位式」へと延長されながら発展してきたのです。

(5)1000年(920~1920)を10年(2012.9~2022.8)で蕩減復帰

 上述したように「成約時代の摂理的同時性」の摂理観では、「天の勝利圏とは蕩減期間の短縮である」としています。

 具体的には、イエス様の降臨からキリスト王国時代までの920年が1920年の再臨主降臨から2012年の再臨主の聖和までの92年間に短縮されながら横的に展開し、東西王朝分立時代から再臨主降臨までの1000年を、2012年9月3日の再臨主の聖和から2022年8月までの10年で蕩減復帰するようになったということです。

 

ローマ帝国迫害時代400年 ⇒ 日帝及び基督教迫害時代40年(1920~1960年)

教区長制キリスト教会時代400年 ⇒ 氏族メシヤ家庭教会時代40年(1961~2000年)

キリスト王国時代120年 ⇒ 天宙平和統一王国時代12年(2001~2012年)

東西王朝分立時代400年 ⇒ 天地王権分立時代4年(2012年9月~16年8月)

法王捕虜及び帰還時代210年 ⇒ 真の母捕虜及び帰還時代2年(2016年9月~18年8月)

メシヤ再降臨準備時代400年 ⇒ 三大王権完成準備時代4年(2018年9月~22年8月)

※重ねてお伝えしますが、もし韓国のキリスト教が再臨主を受け入れて一つになっていれば、このような摂理の延長はありませんでした。

 

 このように蕩減期間を短縮できた天の勝利圏とは、文鮮明先生のアダムとしての勝利と、文鮮明先生を中心とする文亨進様(七男)と文国進様(四男)の真のアベル・カイン一体化の勝利を意味しています。

 そして、文亨進様はこのような勝利基台の上で、2022年5月から7月にかけて、天一国の二代王として10年ぶりに韓国と日本に帰還されました。

(6)蕩減復帰摂理完成時代(成約時代)の各時代の名称解説

【日帝及び基督教迫害時代】(1920年~1960年)
 再臨主と彼に従う成約聖徒たちが、日本帝国やキリスト教から迫害を受けながら蕩減復帰路程を歩み、成約時代の選民である祝福家庭のための基台を造成する時代。

【氏族メシヤ家庭教会時代】(1960年~2001年)
 再臨主が真の母を迎えて真の父母となり、その真の父母によって重生された祝福家庭たちが、各氏族のメシヤとして家庭教会を立て、神主権の王国を建設するための基台を造成する時代。

【天宙平和統一王国時代】(2001年~2013年⇒2012年9月)※陽暦以下同
 真の父母を中心として、祝福家庭たちが成約時代の神主権の王国である「天宙平和統一国(天一国)」を創建する時代。

【天地王権分立時代】(2012年9月~2016年8月)
真の父に対する真の母の不信により、神中心の天の王権とサタン中心の地の王権に分かれ、祝福家庭たちがサタン主管下で苦役路程を歩む時代。

【真の母捕虜・帰還時代】(2016年9月~2018年8月)
 真の父に対する真の母の不信により、神中心の天の王権とサタン中心の地の王権に分かれ、祝福家庭たちがサタン主管下で苦役路程を歩む時代。

【三大王権完成準備時代】(2018年9月~2022年8月)
 真の父の正統後継者を中心にアベル圏の祝福家庭たちが、過去の罪を悔い改め、成約時代の聖殿を再建しながら三大王権完成のための基台を造成する時代。

 

以上で「成約時代の摂理的同時性」の概要説明を終え、次からは、各論として、各時代の詳細を解説していきます。