「統一原理」では、人間の罪を大きく原罪・遺伝罪・連帯罪・自犯罪の四つに分類しています。
今回は、この罪がどんな天法に違反するものなのか、また罪にはどんな種類があり、なぜ原罪がすべての罪の根になるのかについて深掘りしてみたいと思います。
四つの罪は罪の種類ではなく罪の分類
人間の罪には、原罪、遺伝的罪、連帯罪、自犯罪があり、その関係性を『原理講論』では次のように説明しています。
ここで注意してほしいことは、これらの四つの罪は、罪の種類ではなく罪を分類したものだということです。
つまり、罪には原罪、遺伝的罪、連帯罪、自犯罪の4種類の罪がある、ということではありません。
例えば、原罪とは「人間始祖が犯した霊的堕落と肉的堕落による血統的な罪」(『原理講論』p121)を意味しますが、この罪はアダムとエバにとっては自犯罪になります。
ですから、原罪という表現は、アダムとエバの子孫から見たとき、そのアダムとエバが犯した血統的な罪のことを意味しているのです。
同じように、遺伝的罪は、子孫から見た先祖の罪を意味し、罪を犯した先祖本人にとっては自犯罪です。
また、連帯罪は、同族から見た他の同族の罪を意味し、罪を犯した同族本人にとっては自犯罪になります。
そして、もし自分が何かの罪を犯せば、それは自犯罪ですが、自分の子孫から見れば、その罪は遺伝的罪になり、他の同族から見れば連帯罪になるわけです。
ですから、原罪、遺伝的罪、連帯罪、自犯罪というのは、復帰摂理歴史の所産である「私」(『原理講論』p287)の立場から見た罪の分類なのです。
血統を通して伝播する罪
『原理講論』のp261には「堕落人間には原罪があるので、サタンの侵入できる条件がそのまま残っている」とあります。
私たちに原罪があるというのは、サタンと血縁関係をもってしまったアダムとエバの子孫であるがゆえに、サタンはそれを条件として侵入できるということを意味しています。
「神が、アダムとその供え物に対応しようとすれば、サタンもまた、アダムと血縁関係があるのを条件として、アダムと対応しようとする」(『原理講論』p290~1)のと同じように、私たちに対しても同じだということです。
文鮮明先生のみ言にも、「人間が正にサタンと血統的な因縁があるからです」(『文鮮明先生御言選集』23-188 1969.5.19)とあります。
遺伝的罪や連帯罪も、罪を犯した先祖の子孫であったり、罪を犯した民族と同族だということから、その罪の責任を背負うことになります。
このように、「統一原理」で言う原罪の遺伝や罪の伝播は、生物学的なものではなく、天法に違反した人との血統的なつながりを条件として伝播するという法的な評価によるものです。
ですから、罪を犯した人の直系の子孫など、その血縁関係が濃ければ濃いほど、その責任の度合いが大きくなると考えられます。
それでは次に、罪が成立する根拠となる「天法」について調べてみましょう。
「天法」とは神様の創造理想の法
罪には宗教上の罪と法律上の罪がありますが、どちらにしても罪とは、何らかの規範や法に違反することです。
「統一原理」で言う罪とは、「天法に違反するようになることをいう」(『原理講論』p121)のですが、この「天法」とは具体的にどのような内容なのでしょうか?
「天法」とは何かについて説明されている文鮮明先生のみ言を確認してみましょう。
神様の創造理想を中心として、その理想を実現できるみ言があります。そのみ言とは何でしょうか。真理です。原理のみ言は、堕落した世界において絶対的な天法だというのです。(『文鮮明先生御言選集』103-234 1979.3.1)
そして、文鮮明先生は、神様の創造理想とは何かについて、次のように語られています。
このように、「天法」とは神様の創造理想の法であり、その創造理想の完成とは、神様を中心とする四位基台を完成することなのです。
文鮮明先生は、「法とは何でしょうか。法は判断の基準です。実体がみ言どおりになったのか、人として一人前になったのかということをみ言で判断するのです」(『文鮮明先生御言選集』103-234 1979.3.1)とも語られています。
ですから、神様を中心とする四位基台を完成しているのかいないのか、これによって「天法」違反の有無が決まる、ということになるのです。
また、『原理講論』のp152には「神の創造理想は人間始祖がみ言の実体として、み言の目的を完遂しなければならなかった」とあります。
この「み言」とは何かというと、創世記1章28節の「生めよ、ふえよ、地に満ちよ、地を従わせよ」のことで、神様が人間に下さった三大祝福のみ言のことです。
この三大祝福は、個人として、家庭として、被造世界全体として、それぞれの段階で神様を中心とする四位基台を完成することによって実現されます。
以上のことから、「天法」とは「統一原理」の創造原理のことであり、神様を中心として四位基台を造成し、神様の創造理想である三大祝福を完成することがその基準になると考えることができます。
それでは次に、この「天法」を基準として見たとき、罪にはどのようなものがあるのかを調べてみましょう。
罪にはどんな種類があるのか?
文鮮明先生は、2001年1月13日の「神様王権即位式」において、天の国の憲法として次の天法三か条を制定されました。
原罪、遺伝的罪、連帯罪、自犯罪は罪の分類ですが、罪の種類ということでは、血統を汚さない、人権を蹂躙しない、公金を略取しない、この三つがあることになります。
これらは、以下のように創造目的の三大祝福にそれぞれ該当するものです。
【「統一原理」】 【天国の憲法】
第一祝福 個性完成 ⇒ 天法第一条 血統を汚さない
第二祝福 家庭完成 ⇒ 天法第二条 人権を蹂躙しない
第三祝福 主管性完成 ⇒ 天法第三条 公金を略取しない
このように、罪の種類には、血統問題(男女関係)、人権問題(人間関係)、公金問題(金銭関係)の三つがあるわけです。
原罪が罪の根である理由
「統一原理」では、原罪はあらゆる罪の根に相当するものとしていますが、それは原罪が、サタンと血縁関係を結ぶ血統問題だったからです。
アダムとエバが血統問題で罪を犯し、その息子のアベルとカインのときに、兄弟間で問題が起きました。
もしアダムとエバの原罪という讒訴条件がなければ、神様がアベルの供え物だけを取るということもなく、サタンがカインに侵入しようとして「門口に待ち伏せ」(創世記4章7節)ることもできなかったはずです。
結果的にカインがアベルの命を奪って人権問題を起こし、そのため、その後の人類全体にサタンが侵入できるようになってしまいました。
特に、「現実生活を通して人間に侵入してくる」(『原理講論』p494)サタンは、金銭問題を中心としてこの世界を支配するようになってしまったのです。
アダムとエバの血統問題の罪により、あらゆる罪が成立するようになったことから、原罪が罪の根になるわけです。
まとめ
■原罪、遺伝的罪、連帯罪、自犯罪は、復帰摂理歴史の所産である「私」の立場から見た罪の分類。
■「統一原理」で言う原罪の遺伝や罪の伝播は、生物学的なものではなく、天法に違反した人との血統的なつながりを条件として伝播するという法的な評価によるもの。
■「天法」とは神様の創造理想の法であり、その創造理想の完成とは、神様を中心とする四位基台を完成すること。
■天法三か条は、血統を汚さない、人権を蹂躙しない、公金を略取しないの三つ。
■アダムとエバの原罪という讒訴条件があるため、サタンは全人類に侵入することができる。