1.「注釈および用語解説」について

この度は『原理原本』日本語版を購入していただき、ありがとうございます。

『原理原本』日本語版の本文には、(注○○)と記載されているところがあります。これは注釈があることを意味しています。

その注釈をまとめた「注釈および用語解説」では、その箇所に関連するみ言が『マルスム選集』、『原理講論』、『原理解説』、『統一思想要綱』から引用されています。また、解説文が記載されているところもありますので、難解と言われる『原理原本』の理解にお役立てください。

「注釈および用語解説」(PDF134ページ)のダウンロードはこちら

2.『原理原本』と『原理講論』

この「注釈および用語解説」には『原理講論』からの引用が多く記載されています。

ご存じのように、『原理講論』は、劉孝元先生(文鮮明先生の三弟子のお一人)により『原理原本』をもとに執筆され、文鮮明先生の鑑定を受けて出版(1966年)された統一教会の教理書です

私たちは今まで、『原理講論』が成立するその背景や過程については知ることができませんでしたが、『原理原本』と『原理講論』を比較、対照することで、その成立背景や過程の一端を知ることができます。

料理に例えて言えば、料理を食べる立場から調理する料理人の立場に立つのと同じです。料理人の立場に立って実際に調理してみれば、どんな素材をどこから選び、どう調理したのかが分かるということです。

もちろん、『原理講論』執筆のすべてが分かるわけではないですが、これまでとは異なる新しい視点で、より深く『原理講論』を理解できるのではないでしょうか。

ある食口は『原理原本』を読んで次のように感じたそうです。

「『原理講論』では「原理を離れた自由はない」と表現されていますが、『原理原本』を読んで、成長期間は原理を習得させるためにあった期間であることが分かり、神様が堕落行為に手を出すことができなかったのは、より親の立場からそのようにしていたことが実感でき、大変感銘を受けました。」(Y・Hさん 50代男性)

その人自身の個性や成長段階、責任分担や蕩減内容によって、気づきを得る場所も内容もそれぞれ異なります。

『原理原本』を読み進めていくなかで、注釈以外のところからも『原理講論』と通じる箇所を多く発見できますので、ご自身の気づきや感じたことを記録して、自分だけの注釈書をつくることもできます。

この「注釈および用語解説」がその土台になれば幸いです。

3.『原理原本』本編と注釈書の関係

ユダヤ教では、「トーラー」と「タルムード」の二つを経典として、どちらもたいへん重要視しています。

「トーラー(教え、指示)」は、神様から直接、1人の中心人物に授けられた啓示の書であり、旧約聖書のモーセ五書(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)のことです。

「タルムード(研究、学習)」は、ユダヤ民族のなかで歴史的に人から人へと伝えられてきた口伝を集大成した書であり、モーセ五書に基づくユダヤ教の律法と教義の解釈や解説が記されたものです。

『原理原本』の本編を「トーラー」とすれば、「注釈および用語解説」は「タルムード」に相当すると言えます。

また、神による啓示と人による口伝の観点で旧約時代、新約時代、成約時代の流れを見ながら、日本との関わりを考えてみると、旧約時代は「トーラー」(経典)と「タルムード」(口伝)がユダヤ教の中で一つになっていました。

新約時代になると、西洋では聖書を中心にキリスト教文化圏が形成され、東洋の日本では、口伝による神話とその教えが中心の神道文化圏が形成され、それぞれ2000年の歴史が今日まで続いてきました。

そして、成約時代を迎えた今、天の三大王権を中心に、『原理原本』とその注釈書という形で、経典と口伝が再び統合される新しい時代を迎えたという観点も成り立ちます。

神道の文化圏で生まれ育った私たちが、聖書を学ばなければならない理由がここにもあります。

そして今後、ご自身の悟りや気づきを加えてオリジナルの注釈書をつくることで、それが自分の氏族を中心に、子々孫々、受け継がれていく「○○家のタルムード」になるのではないでしょうか。

 

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.参考資料

①「トーラー」と「タルムード」について

ユダヤ教の聖典にはトーラーとタルムードがあります。トーラーは神から授けられた聖典であり、タルムードは口伝律法をまとめた書物であるという違いがあります。

しかし、ユダヤ教徒にとっては、トーラーとタルムードの両方が重要であり、両方を学ぶことが求められます。

トーラーは、ヘブライ語で「教え」という意味があり、ユダヤ教の聖典の中心的なもので、以下の五書(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)からなっています。

創世記:世界の創造、アダムとエバ、カインとアベル、ノアと洪水審判、バベルの塔の物語などが描かれています。

出エジプト記:モーセがエジプトからイスラエルの民を解放し、神から十戒が授けられたこと、また砂漠での旅と出エジプト記における法律が記されています。

レビ記:司祭の義務、儀式的な法律やその他の法律が記されています。

民数記:砂漠での旅についての詳細、各部族の人口、神への献身、そして様々な法律についての説明が含まれています。

申命記:モーセによる人々への説教、十戒の再掲、約束の地への進軍前に従うべき法律が書かれています。

タルムードは、ユダヤ教の口伝法であるミシュナー(Mishnah)と、その解説書であるゲマラ(Gemara)から成る巨大な文献です。ユダヤ教徒にとっては、聖典であるトーラーと同様に重要なもので、ユダヤ教の法律や倫理についての指南書として用いられています。

ミシュナーは、紀元2世紀から3世紀にかけて編纂された、ユダヤ教の律法についての簡潔な文書です。その文書には、トーラーに記されている法律の解釈や、習慣、そして聖書には書かれていない法律についての解説が含まれています。

そして、6つの「シェシェト・ヤミ・ハ・マアセ」と呼ばれる篇に分けられ、それぞれ農業、祭儀、民事、刑法、聖物、清めについて述べられています。

一方、ゲマラは、ミシュナーの解説書であり、ミシュナーの文法や意味を解釈して、法律や伝統の根拠を探るための議論が記されています。また、ユダヤ教の律法に関する解釈や、宗教的な思想や民俗学に関する話題も含まれています。

タルムードは、ユダヤ教の律法を理解するための中心的な文献であり、法律家や学者たちによる議論が記されているため、ユダヤ教の発展や宗教的思想を理解する上で重要な資料とされています。

②神道における口伝の役割について

神道では口伝が非常に重要な役割を持ち、口伝を通して神道の儀式や信仰、教えなどを直接的に伝えることができるため、神道の中心的な存在になっています。

また、神道には経典が存在しないため、口伝が信仰や伝統を次世代に引き継ぐ重要な手段なのです。

神道の口伝には、神社の神職や巫女、特定の神社に伝わる秘伝など、様々なものがあります。これらの口伝は、家族や信仰共同体の中で、先祖から受け継がれることが多く、伝承の継承によって信仰や伝統が守られ、発展してきました。

また、口伝には個人的な体験や実践に基づくものもあり、そのような口伝は、個人の信仰生活を豊かにする重要な役割を果たしています。神道では個人的な信仰や実践が重要視されるため、口伝が大切な役割を果たしていると言えます。

 

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