今年(2023年)8月に出版された『忍耐必勝』は、文鮮明先生がなぜ新たに真の母を立てなければならなかったのか、そして、姜賢實伝道師が「康賢實」として真の母に選ばれたその摂理的背景と理由を明らかにした書です。

 さらに、文鮮明先生の真の後継者であられる文亨進様が、息子の立場で真の母を立てることの原理的根拠を明らかにし、その正統性を立証するものです。

 今回はその「はじめに」の箇所を公開しますので、ご一読くださり、続けて本文もお読みくだされば幸いです。

■『忍耐必勝』「はじめに」全文

 神様と真の父母様が愛してやまない成約聖徒の皆様。
 本書は、文鮮明(ムンソンミョン)真のお父様のみ言と康賢實(カンヒョンシル)真のお母様の自叙伝を通して、神様(ハナニム)の栄光と天の三大王権の天宙的勝利を証(あかし)するものです。
 天基八年天暦八月四日(二〇一七年九月二三日)、「天地人真の父母天宙完成祝福聖婚式」が行われ、文鮮明真のお父様は、姜賢實伝道師を真の母として迎えられました。このとき姜賢實(カンヒョンシル)伝道師は「康(カン)氏」の姓を天から賜り、「康賢實真のお母様」となられました。このような「天宙完成祝福聖婚式」が行われるようになったのは、韓鶴子女史が真の母の位置を自ら離脱したからにほかなりません。

 真の母の位置を離脱した韓鶴子女史

 真のお父様は、エデンの園で堕落したエバについて次のように語られています。

 エバが堕落するとき誰をだましましたか。神様をだましました。神様に隠れて、神様に相談せずに勝手に神様を否定する立場で堕落したのです。次に、アダムは自分の夫であると同時に神様の息子です。父子を否定する立場で堕落したがゆえに、アダムを失いました。(『天聖経』「罪と蕩減復帰」第三章 蕩減と復帰の公式)

 韓鶴子女史は、エバと同様に神様を否定し、夫を否定し、息子を否定することによって真の母の位置から離脱したのです。
 第一に、真のお父様が制定し最も重要視された『家庭盟誓(カジョンメンセ)』において、「神様(ハナニム)」を「天の父母様(ハヌルプモニム)」に変え、ただお一人の父なる神様を否定しました。真のお父様が晩年、成約聖徒たちに骨の髄まで深く刻むようにと言われた「実体み言宣布」のみ言には次のようにあります。

 韓民族は、昔から神様を先祖の中の最高、最上の先祖として崇め敬って生きてきた天孫民族です。ただお一人であられる万人の先祖、そのかたを「お一人のおかた」、すなわち「ハナニム」と呼び主人(昼と夜の創造主)として侍ってきたのであり、したがって、すべての数の根源も「ハナ(一)、トゥル(二)」から始まったのです。このような「ハナニム(神様)」を原初の先祖として侍ってきた民族なので、韓民族の精神と伝統の中には、共生、共栄、共義の魂が生きています。(「天地人真の父母定着実体み言宣布天宙大会」講演文)

 私たち成約聖徒が目指す「天一国」、すなわち共生・共栄・共義主義の世界は、「神様(ハナニム)」を中心として成就される世界であり、そこに根源があるのです。韓鶴子女史はこれを否定しました。
 第二に、韓鶴子女史は自らの主体である夫を否定しました。
 「実体み言宣布」のみ言には「真の父母様の最終一体」のみ言があります。原理で言う「一体」とは主体と対象の一体化です。すなわち、主体を中心に対象が相対の位置で主体と一つになることが原理的な「一体」です。したがって、「真の父母様の最終一体」にも主体と対象の格位があります。言うまでもなく、その主体は文鮮明真のお父様であり、対象は韓鶴子女史です。
 しかし、韓鶴子女史は自らの無原罪誕生を主張し、この主体と対象の格位を破壊して主体と同格・同等の立場に立とうとしました。そのメッセージが二〇一四年七月一日の「真の母胎中聖別・無原罪誕生宣言」です。真のお父様が何度も強調された「真の父母様の最終一体」を自ら破壊したのが韓鶴子女史です。その後、さらに「真の父有原罪誕生」を主張して絶対主体の立場に立とうとしています。
 康賢實真のお母様は、二〇一四年七月一日の「真の母胎中聖別・無原罪誕生宣言」の前まで、一人の成約聖徒として韓鶴子女史と一体になり神様と真のお父様のみ旨を成し遂げようと固く決意していらっしゃいました。(第二部第五章参照)しかし、この宣言を青天の霹靂の知らせと表現され、真の母の胎中聖別と無原罪誕生は有り得ないことであり、到底受け入れ難いものと語られています。(第三部参照)
 第三に、「父子協助時代」の母の使命として息子に従うことができず、反対に息子を否定してしまいました。「父子協助時代」の母の使命について真のお父様は次のように語られています。

 今では母と息子が一つになって復帰されたので、天下において父子です。母は、息子、娘を生んで父の代わりに立て、年老いた母が息子、娘を動かすのではなく、年老いた母が、国のために生きるにおいて、息子、娘に仕えながら従っていかなければなりません。それゆえ、「父子協助時代」に入っていきます。(『文鮮明先生御言選集』 三五六―一二、二〇〇一・一〇・七)

 ところが、韓鶴子女史は、二〇一三年二月、当時、米国総会長の立場にいらっしゃった文亨進様を、解任理由を明示しないままその職から解任しました。そして、二〇一五年二月二六日には、「世界会長の職権乱用および教理違反」を理由に世界会長としての職務権限を停止させる処分を下し、三月三日の世界公文を通して全世界の祝福家庭および全教会員にこの処分を通達しました。
 このように韓鶴子女史は、真のお父様が聖和された後、その実際の言動をもって神様(ハナニム)を否定し、真のお父様を否定し、真のお父様の直系であり後継者の息子まで否定し、エデンの園でエバが犯した罪を再現することによって真の母の位置から離脱してしまったのです。
 このような真の母の立場にいる女性が犯した不信の罪を蕩減(とうげん)清算しなければ、天の三大王権を立てて「天一国」を建設するという天のみ旨を成就することができないため、韓鶴子女史に代わる女性を再び選び、真の母として立てなければならなくなりました。

 息子が母を立てることができる「父子協助時代」

 「父子協助時代」における息子の権限について語られた真のお父様のみ言の中で、次のようなみ言があります。

 長子権を復帰し、天父主義が宣布され、神様が息子をもったので、母がいなければ、息子が母を迎え入れることができるのです。再臨主が神様の新婦を、母を選び立てたのと同じように、息子が母をいつでも選ぶことができるというのです。(『文鮮明先生御言選集』四六六―三〇一、二〇〇四・九・一)

 再臨主は人類の前には父母ですが、神様の前には息子です。ですから、真のお父様が真の母を選ばれることは神様の新婦を選ぶことであり、ご自身の母を選ぶことと同じです。このような権限を相続されたのが真のお父様の後継者、代身(だいしん)者、相続者であられる文亨進二代王様です。
 したがって、もし真の母の立場である女性がその位置から離脱し、真の母の位置が空位になった場合、再臨主の直系の息子として、文亨進二代王様が真の母を選定することができるのです。そして、文亨進二代王様によって真の母の位置に迎えられた方が姜賢實伝道師でした。
 それでは、なぜ姜賢實伝道師が真の母に選ばれたのでしょうか。
 本書の第二部と第三部を読んでいただければ分かるように、康賢實真のお母様となられた姜賢實伝道師は、その生涯に渡って常に真のお父様のみ旨に絶対服従され、そのご命令に絶対信仰をもって従われました。すべての動機と出発点が神様と真のお父様にありました。
 聖アウグスティヌスとの祝福結婚を受けられたことも真のお父様が願われたからであり(第二部第四章第三節参照)、養子を迎えられたことも真のお父様からのご指示に従って行ったことでした(第二部第四章第五節参照)。そして、二〇一三年当時、韓鶴子女史を真の母として絶対信仰、絶対愛、絶対服従してみ旨を成就すると決意されていたことも(第二部第五章参照)、それが真のお父様のみ旨であると思われたからです。さらには、文亨進二代王様に従う道を選ばれたことも、神様と真のお父様に祈ってみた結果、「行きなさい」というお答えを受けられたからなのです。(第三部第二章参照)
 このように康賢實真のお母様は、神様と真のお父様、そして天の三大王権に絶対信仰、絶対愛、絶対服従を貫かれた生涯を歩まれました。これはすなわち、次のような「父子協助時代」の母の使命を果たされたということです。

 「母子協助時代」と「父子協助時代」は違います。「父子協助時代」に、命の種を抱いて育てようとする女性たちは、夫に対して絶対服従しなければなりません。今まで女性たちは、本然の夫を訪ねてくるのに数千年、数万年犠牲になってきましたが、その受難の歴史を越えて本然の夫を迎えることができる場に立てば、絶対信仰、絶対愛、絶対服従の道理を果たさなければならないのです。
 それを誰がしなければなりませんか? アダムとエバを中心として神様が先にしましたが、その次に女性が先にしなければなりません。そうしなければならないのではないですか? すべてのものを破壊した女性が、夫に対して絶対信仰、絶対愛、絶対服従しなければならないのです。それで女性は、その夫を通して恨(ハン)の峠を越え、無限の祝福をすべて受けることができる場に立つのです。(「父子協助時代」宣言、二〇〇〇年一一月一一日)

 二〇一七年の九月に真の母になるというお話を聞かれたときも、最初はとても驚かれていましたが、文亨進二代王様のみ言を何度も聞かれながら、そのみ言に絶対従順されました。そして、真のお父様・三大王権の権能により、聖アウグスティヌスは立石友美さんと祝福を受けることになりました。
 このようにして、康賢實真のお母様は、神様と夫と息子を否定したエバと韓鶴子女史の罪を蕩減(とうげん)復帰する条件を立て、神様の新婦であり、真のお父様の対象であり、人類の真の母となられたのです。

 本書の構成について

 最後に、本書の構成についてご説明します。
 冒頭でお伝えしたように、本書の制作意図は、文鮮明真のお父様のみ言と康賢實真のお母様の自叙伝を通して、神様(ハナニム)の栄光と天の三大王権の天宙的勝利を証(あかし)することです。康賢實真のお母様を神格化し、文鮮明真のお父様とは異なるもう一つの信仰主体をつくることではありません。
 人類の真の母となられた康賢實真のお母様について考えるとき、最も重要なことは、真のお父様が康賢實真のお母様をどのように見ていらっしゃったかということです。そのため、第一部に康賢實真のお母様について語られた真のお父様のみ言を掲載しました。このみ言の観点を中心に第二部から第三部に掲載した康賢實真のお母様の生涯とメッセージを読んでくだされば幸いです。
 そして、第四部には、「父子協助時代」宣言のみ言(二〇〇〇年一一月一一日)と「父子協助時代」の息子と母の使命について語られた真のお父様のみ言を掲載しました。このみ言によって、韓鶴子女史がいつまでに何を勝利し、いつから何が勝利できなかったのか、本来どのようにすべきであったかが明確に分かるようになります。さらにこのみ言には、真のお父様に代わって文亨進二代王様が息子の立場で康賢實真のお母様を選び立てられたことの原理的、摂理的根拠が明示されています。

 本書を読む成約聖徒の皆様が神様と文鮮明真のお父様のみ言にふれてその恩恵にあずかり、康賢實真のお母様の絶対信仰、絶対愛、絶対服従の伝統を相続し、天の三大王権に侍る真の成約聖徒となられることを心から祈る次第です。

世界平和統一聖殿日本本部

 

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■成約聖徒の皆様へ -個人的所感として-

 韓鶴子女史が真の母の位置を離脱することによって、その位置が空位となりました。これは、エバが霊的堕落をした後の状態、すなわち、アダムがエバを天使長ルーシェルに奪われた状態に等しいと言えます。

 このときアダムは、エバに逆主管されて肉的堕落をするのではなく、天使長からエバを復帰しなければなりませんでした。蕩減復帰摂理の歴史では、アブラハムがこの路程を歩みました。

 アブラハムは、象徴献祭をする前に兄妹の立場でエジプト王パロから妻サライを取り戻し、イサク献祭をする前にゲラルの王アビメレクから妻サラを取り戻す路程を歩んだのです。

 このような路程を歩むことによって、アブラハムとサラは、アダムとエバが堕落する前の立場に復帰し、象徴献祭とイサク献祭ができる立場に立つようになりました。

 これと同様の原理により、文鮮明先生は、真のアダムの権限で聖アウグスティヌスの妻の立場だった姜賢實伝道師を真の母に立てられることによって、アブラハムが歩んだ蕩減復帰路程の原理型が成立しました。

 その結果、韓鶴子女史の不信によって侵入したサタンが分立され、アダムが肉的堕落することなく天使長ルーシェルからエバを復帰したことになると言えます。

 そして、姜賢實伝道師は、文鮮明先生とその真の後継者文亨進様のみ旨に絶対服従することによって、エバの霊的堕落と韓鶴子女史のメシア、再臨主に対する不信の罪を蕩減復帰することができました。

 それと同時に、キリスト教最大の教父である聖アウグスティヌスもこのみ旨に絶対服従することによって、キリスト教が再び天運を受け、神の摂理圏内に戻って天の三大王権に復帰される条件が成立したと考えることができます。

 以上のことから、天の摂理と天運の中心は、独生女論をもって偶像崇拝に陥った「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)から、天の三大王権を中心とする「世界平和統一聖殿」(サンクチュアリ協会)に移行しています。

 成約聖徒の皆さんは、これが事実なのかどうか、神様と天上にいらっしゃる文鮮明真のお父様に一度祈り尋ねてみてください。そして、その答えに従って行動を起こしてくださることを心から祈る次第です。