はじめに

『原理原本』では、「原力」について詳細かつ繰り返し説明されています。

今回の記事では、「原力」について語られた文鮮明先生のみ言を紹介し、「統一思想」から見た「原力」と「万有原力」の関係について解説します。

また、「原力」による作用の一例として、地球の自転についても考察しましたので、ご一読ください。

1 「原力」について語られた文鮮明先生のみ言

(1) 「原力」は愛を中心として語る言葉

 天地の道理は、すべて水晶体と同じようになっています。水晶体はどんなに小さくても全体を代表するのです。すなわち、それが大きくなれば結晶体になりますが、プラスとマイナスが何度も合わさって大きくなっていくのです。それが天地の道理です。この大宇宙もそのように大きくなるというのです。しかし、ここに論理的矛盾があります。大きくなるとすれば、大きくなることのできる内的な力はどこから備わり得るのか、ということが問題です。
 統一教会には「原力」という言葉があります。それが(内的な力を)補うことができるのです。その「原力」は、その根本が何を中心とする言葉かと言うと、愛を中心として語る言葉です。どのような愛ですか? 真の愛です。真の愛の作用というものは、作用すればするほど小さくなるのではなく、大きくなる内容があるという事実を知らなければなりません。

(『文鮮明先生御言選集』 220-307 1991.10.20)

(2) 「原力」とは作用を起こすことのできる力

 自然世界の力学を見れば、入力というものは常に出力よりも大きいのです。電気で言えば、100ボルトの電気が入っていくと、その場を経て出てくるときは必ず小さくなります。力を投入すれば、それが出てくるときは小さくなるようになっているのです。ところが、神秘的な力が何かというと愛の力です。それを知らなければなりません。愛の力は、投入すれば、100、1000、10000に拡大されるのです。
 それが嘘だと言うのなら、私が実証を挙げて話してあげましょう。私には12人の息子、娘がいますが、その12人の息子、娘に対して100パーセント愛しています。10パーセントずつ愛するのではありません。100パーセントずつ愛します。そうすると、10人の息子、娘は、10パーセントの愛を受けるのではなく、すべて100パーセントの愛を受けるので、1000パーセントの愛の作用が起こるというのです。これは、すればするほど無限に補給されるということです。すればするほど無限です。すればするほど永遠だということです。与えれば与えるほど、どんどん出てくるというのです。
 内的な愛の力だけがこのような力をもっているため、この宇宙で愛をもつものは発展します。愛をもって無限に発展することができ、そこでは無限に全体和合のブームを起こすことができます。先生1人が愛の導火線になり、100万、1000万の群衆に愛を施すようになるとき、それが100パーセント満ちれば、1000万の群衆が愛で満たされるということです。数100倍、数1000万倍の拡大を引き起こす力があります。
 このように、神様の愛を中心として宇宙は発展するのです。ですから、創造の発展的力の増大というのは、愛の概念を通さなければなりません。愛の概念を通さなければ、力の増大圏というものはあり得ないという結論が出てくるのです。
 このようなことを論理的構成として連結させようとしたため、「原力」という言葉を入れざるを得ないことを知らなければなりません。そうすれば「原力」というものがはっきりするでしょう? 「原力」とは何ですか? 作用を起こすことのできる、それ自体の力だというのです。その言葉はそういう意味です。それは愛だけです。愛の概念を中心とするのです。

(『文鮮明先生御言選集』 131-120 1984.4.22)

(3) 「原力」とは愛の核に連結させる力

 神様はどのような存在ですか? 真の愛の中心にいて、全体の内容をもつ人格者です。愛をもつ人格者として宇宙を抱擁し、宇宙を同化させ、宇宙を消化し、宇宙を感動させることのできる主体です。愛の主体です。それがどれほどすばらしいですか? 私たち人間がなぜ存在しなければならないのですか? 愛の理想を成し遂げるため、その主体の前に対象の人格を完成するためです。愛の理想を実現するために不可避なのです。
 ですから、私と神様との関係においては、私が愛の付体(ふたい:核に付属する実体)であり、神様が愛の核です。これがどれほどすばらしいですか? このように二者が一つになってこそ、神様も愛の理想を完成するのです。それゆえ、神様は人間たちが必要であり、人間は神様が絶対に必要だという理論的帰結になるのです。
 人間が本当に愛の味を手にすれば、最後まで残るものがありません。目も愛を見始めれば飛び出そうとし、鼻も愛のにおいを嗅げばひっくり返ろうとし、耳も愛の声を聞けば裂けて出ていこうとするのです。男性と女性が授受することだけで終わっては、このような作用はよく分かりません。互いが完全に一つになって、初めて愛の核と関係を結ぶことができるようになるのです。ですから、男性は女性が必要であり、女性は男性が必要です。男性と女性が完全に一つになってこそ、理想的な愛が完成します。
 このような観点から、私たち統一教会で言う「原力」とは一体何でしょうか? 核に連結させる力を意味するのです。あらゆるものを核に連結させることのできる力を意味します。ですから「原力」が必要なのです。

(『文鮮明先生御言選集』 117-76 1982.2.1)

2 み言と「統一思想」から見た「原力」と「万有原力」の関係

(1) 「原力」と「万有原力」の関係

「原力」と「万有原力」の関係について、「統一思想」では次のように定義しています。

 宇宙万物はいったん創造されたのちにも、絶えず神から一定の力を受けている。被造物はこの力を受けて個体間においても力を授受している。前者は縦的な力であり、後者は横的な力である。統一思想では前者を原力といい、後者を万有原力という。
 ところでこの原力も、実は原相内の授受作用、すなわち性相と形状の授受作用によって形成された新生体である。具体的にいえば、性相内の心情の衝動力と形状内の前エネルギー(PreEnergy)との授受作用によって形成された新しい力が原力(Prime Force)である。その力が、万物に作用して、横的な万有原力(Universal Prime Force)として現れて、万物相互間の授受作用を起こすのである。したがって万有原力は神の原力の延長なのである。(『統一思想要綱』p57~58)

 

ここで言う「縦的、横的」とは「原因的、結果的」と同義であり、文鮮明先生も、「万有原力は授受作用を起こす力」(『文鮮明先生御言選集』293-11 1998.5.1)と語られています。

したがって、「原力」とは、神様から被造物に絶えず与えられる力であり、その力を原因として、被造物と被造物の間で授受作用を起こす力が「万有原力」です。

「授受作用」とは、主体と対象が互いに与えては受ける作用のことで、人間でいえば、お互いのために生きることを意味します。

これが物理的な運動としては、『原理講論』のp55に「主体と対象とが授受作用をするようになれば、その対象は主体を中心として互いに回転して、円形運動をするようになる」とあるように、回転運動として現象化します。

(2) 三大祝福完成の原動力も「原力」

そして、上で紹介した文鮮明先生のみ言にあるように、「原力」とは愛を中心とするものなので、「統一思想」では次のように「原力」にも「万有原力」にも愛の力が含まれていることを明らかにしています。

 神の創造において、本形状である前エネルギーから授受作用(後述)によって、二つの力(エネルギー)が発生すると見る。その一つは「形成エネルギー」(Forming Energy)であり、他の一つは「作用エネルギー」(Acting Energy)である。
 形成エネルギーは直ちに粒子化して物質的素材となり、万物を形成するのであるが、作用エネルギーは、万物に作用して、万物相互間に授け受ける力(例:求心力と遠心力)を引き起こす。その力を統一思想では原力(Prime Force)と呼ぶ。そして原力が万物を通じて作用力として現れるとき、その作用力を万有原力(Universal Prime Force)と呼ぶのである。
 本形状から授受作用によって形成エネルギーおよび作用エネルギーが発生するとき、愛の根源である心情が授受作用の土台となるために、発生する二つのエネルギーは単純な物理的なエネルギーではなく、物理的エネルギーと愛の力との複合物なのである。したがって原力にも万有原力にも、愛の力が含まれているのである(文先生は一九七四年五月の「希望の日晩餐会」での講演以後、しばしば「万有原力にも愛の力が作用する」と語っておられる。)(『統一思想要綱』p34)

 

 

このように「原力」は、愛の力(Force)と物理的(形成・作用)エネルギー(Energy)(※)が複合したもので、愛の力を根本として形成エネルギーによって粒子を形成し、作用エネルギーによってその粒子に作用して粒子間に授受作用を起こします。

その結果、授受作用の力、すなわち生存と繁殖と作用の力が生じるわけですが、これらの力によって人間は個性完成、子女繁殖(家庭完成)、万物主管を完成していくようになっています。

したがって、私たちが三大祝福を実現していく、その原動力も「原力」なのです。

 

※注:フォースとエネルギー、ワーク、パワーの比較

 

エネルギーとワークは同じだが、エネルギーは物を動かす前の能力で、ワークは物を動かした後の状態を指す。

参考:https://urban-cafeteria.com/ForcePower.html

 

3 「原力」と地球の自転について

(1) なぜ地球は自転し続けるのか?

例えば、何かの物体を机の上で回転させると、机との接触部分の摩擦力と空気抵抗によって、次第に回転速度が遅くなり、最後は止まります。

このように、回転している物体は、接触部分の摩擦力と空気抵抗によって回転が止まるのですが、なぜ地球の自転は止まらないのでしょうか?

一般的には、「地球が他の何かと接触しておらず、宇宙に空気がないため、宇宙のちりが回転しながら地球を形成した、その回転がそのまま持続しているから」と説明されます。

(2) 中身が固体の物体と液体の物体を回転させるとどうなる?

ゆで卵と生卵を回転させるとどうなるでしょうか? ゆで卵は勢いよく回転しますが、生卵はうまく回転しません。なので、ゆで卵か生卵かを見分ける方法として、この方法がよく使われます。

なぜこうなるのかというと、ゆで卵は中身が固体なので、殻と一緒に連動して中身も同じ方向に回転するのですが、中身が液体の生卵は、殻と中身が連動せず、中身に対して殻の回転と逆方向の力が働くのでうまく回転しないのです。

(3) 地球の内部は固体か液体か?

では、地球の内部はどうなっているのでしょうか? 地球の内部構造は、内核と外殻、マントル、そして地殻で構成されています。

中心部の内核は固体で、外核は液体、そしてマントルは固体ですが、内核との温度差によって対流が生じています。つまりゆっくりですが、マントルも移動しています。

ということは、地球も生卵に近い内部構造なので、地球が自転する方向に対して、逆方向に働く力が内部に生じることになります。

ですから、たとえ摩擦力や空気抵抗がない状況でも、地球はその内部構造のために、一定の速度で安定かつ継続して自転することはできないはずです。

(4) 地球も「原力」によって自転を継続している

それでは、なぜ地球は自転し続けることができるのでしょうか? それは地球内部に発生する、自転と逆方向の力よりも強い力が作用しているからです。その力が正に地球がもつ「原力」です。

上で説明したように、文鮮明先生は「万有原力は授受作用を起こす力」(『文鮮明先生御言選集』293-11 1998.5.1)と語られています。

ですから、地球の自転も、地球内部の「授受作用」による回転運動であり、その「授受作用」は地球がもつ「原力」を起因として起こっているのです。

そして、「原力」による作用とは真の愛の作用ですから、地球も真の愛の作用によって自転を継続しているということになります。

もし地球が自転せずに公転だけをしているとすれば、どうなるでしょうか? 地球の磁場が消失して太陽風や宇宙線がダイレクトに地表に注がれ、生命と自然環境に深刻なダメージを与えることになるでしょう。

私たち人間も万物も、神様の原力、真の愛の力によって生かされ、守られています。

 

아버지, 감사합니다!